米、同盟国に一層の貢献求める 中国の侵略対抗でPhoto:Ezra Acayan/gettyimages

【ホノルル】米国とアジア太平洋地域の主要同盟国の軍高官たちは、中国による侵攻の脅威が高まる中、米国のリソースが非常に手薄になっているこの地域でパートナーとの協力方法を模索することが米政府の喫緊の課題になっていると警告した。

 米国と20以上の同盟国が参加してハワイで実施された最近のイベントで明確に打ち出された方向性は、情報の共有や軍事演習の実施に加え、各国の指揮システムが一体的に機能するようにすることで、共同で中国と戦う能力を高めるというものだった。指揮システムの一体化は一部分野では初の試みとなる。

 米国は長年、インド太平洋地域の軍事戦略強化に苦労してきた。この地域は米国の同盟国や友好国が継ぎはぎ状態になっている。北大西洋条約機構(NATO)によって一元化されている欧州のシステムとは対照的だ。

 米インド太平洋軍司令官のサミュエル・J・パパロ海軍大将は、 中国の野心と能力の程度 を説明するのに、中国が昨年、たった1日で戦艦152隻と上陸作戦部隊の4分の3、何十個もの旅団を台湾周辺に展開させ、大規模な攻撃演習を行ったことを引き合いに出した。中国は先月、この海域で再び大規模な演習を実施した。

「演習ではなく、リハーサルだった」と、この地域の米軍を統括する四つ星提督であるパパロ氏は基調講演で述べた。「中国は危険な方向に進んでいる」

 中国からの軍事的脅威は、ドナルド・トランプ大統領の外交政策における重要課題だ。トランプ氏は「相互」関税を巡って同盟国・地域と貿易協定の交渉をする一方で、中国と戦うためにこうした国々・地域と足並みをそろえなくてはならない。相互関税は既に、アジア太平洋地域のパートナーとの摩擦を生じさせている。

 トランプ政権は、中国への対応を国家安全保障上の最重要課題と位置付けている。ピート・ヘグセス国防長官は、同地域への初の公式訪問の際、米国が同地域に向けて 「前例のない」方向転換をした と主張した。