外国人に囲まれる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

韓国ドラマのブームなどで韓国語を学習する人が増えている。日本語と韓国語は文法が似ており、学びやすく上達も早い言語のようだ。一方で、多くの人が習得を目指す英語が日本人になかなか定着しない理由とは。※本稿は、白井恭弘『新版 外国語学習に成功する人、しない人──第二言語習得論への招待』(岩波書店)の一部を抜粋・編集したものです。なお、記事のタイトルと見出しはダイヤモンド・ライフ編集部が付けたもので原著にはありません

習得難易度を決めるのは
「言語間の距離」

 日本人が英語ができない理由に、英語と日本語はかなり異なった言語である、ということがあります。当たり前の話ですが、学習者の母語と、学習対象となる言語が、似ていれば似ているほど、学習はやさしくなります。

 日本語と英語は、言語の系統的にもかなり異なっており、たとえば、英語と同じインド=ヨーロッパ語族に属する言語を母語とする学習者に比べると、日本人学習者はかなり不利になります。

 もっと極端な例をあげると、ふつうは別の言語ととらえられている言語でも、実はかなり似ている場合があります。

 たとえば、同じロマンス諸語のスペイン語とポルトガル語は、語彙も文法も非常に似ているので、お互いの言語を知らなくても、なんとかコミュニケーションがとれてしまうようで、実際、日本に留学しているスペイン人とブラジル人(ポルトガル語話者)がお互いに自分の母語を使って会話をしているという話を聞きました。

 そのような場合は、第二言語として学習するのも楽なことはいうまでもないでしょう。