買いのタイミングは複数回に分けて
Q:決算後すぐに買うケースが多いですか?
A:基本的には、翌営業日の寄り付きを見て判断します。あまりにも成行買いが多いと見たら1~2時間はいったん買いを見送りますし、思いのほか安値で寄り付いた場合はそこから積極的に買っていくこともあります。
基本的には成行買いはせず、他の投資家の動向を見つつ、買い集めていくような感じです。迷ったときは基本的にエントリーします。
自分が迷うということは他の投資家も迷っているということなので、そういう時にエイヤでリスクをとったほうが上手くいくケースが多いです。これがなかなか難しいんですけどね。
自信がある決算内容の方がかえって上手くいかなかったりして、決算モメンタム投資は本当に難しいと思います。
保有の基本方針はまず1か月
その間に中長期投資に移行するか売却するかの判断を
Q:保有期間はどのくらいが多いですか?
A:まずモメンタムが継続しなくなったら売却です。数日で損切りになることもありますし、1か月くらい保有して上昇モメンタムがなくなったタイミングで売ることもあります。
基本は1か月ですね。1か月も経つと、その決算を見て買いたい投資家はある程度買ってしまっているので、市場の興味は次の決算へと移っていき上昇モメンタムもなくなってきます。
次の決算も見たいと思える銘柄はそのまま残しますし、いったん利益確定しておこうと思った銘柄は、だいたいそのタイミングで売却します。
決算モメンタム投資でエントリーした後、中長期投資に格上げするかどうかを1か月の間に判断していく感じです。中長期投資に格上げした銘柄は、基本的に好決算が続く限りは持ち続けることになります。
実際に大きく取れた成功銘柄とは?
Q:この投資法で、大きな成果が出た銘柄を教えてください。
A:今回の決算シーズンですと、たとえば遠藤照明(6932)でしょうか。2025年4月30日、2026年3月期の年間配当を前期比34円増の84円とする予想を発表しました。これにより、予想配当利回りは5.4%に達し、投資家からの注目を集めました。
また同日、遠藤照明は最大7万5000株(発行済み株式の0.5%)、1億円を上限とする自社株買いの実施を発表しました。
この会社は、昔から配当を出すのに消極的な会社でした。しかし昨今の「資本コストと株価を意識した経営」の東証からのプレッシャーもあり、「ついにあの遠藤照明が株主還元に動き始めた!」と思ったのです。
今年の株主総会に向けても株主から株主提案が出ており、さらに還元強化へと動く可能性があり、買いを決めました。
最初の一歩は「決算短信を読むこと」
Q:最後に、この手法を取り入れたい人へのアドバイスをお願いします。
A:まずは「決算短信を読む習慣」をつけること。それと、「なぜこの決算で買われたのか? なぜこの決算で売られたのか?」を考える癖をつけること。
たとえ、はじめは分からなくても、100社、200社と読み比べていくうちに、“良い決算”と“普通の決算”の違いが肌で分かるようになります。
そして、株価チャートを並べて、「決算後にどう動いたか」を復習する。過去を見返すことが、未来の判断精度を上げてくれるんです。
※本稿は『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。