独特な持ち味の青春映画で人気を博す松居大悟監督が、大林宣彦監督にリスペクトを込めて尾道で撮影した<タイムリープ×青春ミステリ>映画『リライト』。主演の池田エライザは現代と10年前の学生時代、時を隔てた二つの時代のヒロインを演じている。彼女自身は仕事のために10年前、福岡から上京。その頃から変わらない金銭感覚や憧れの存在である母についても語る。(撮影:高野広美 取材・文:高山亜紀)
まさかの女子高生役に挑戦!
主演だけど気分は引き立て役

ヘアメイク:福岡玲衣(W)
スタイリスト:高橋美咲(Sadalsuud)
ジレ、パンツ/ともにLALOH
ピアス、リング/ともにKalevala
高校3年の夏、美雪のクラスに保彦が転校してくる。ある小説を読んで、300年後からタイムリープしてきたという彼の秘密を知り、二人は急接近。彼の薬で美雪は10年後にタイムリープするが……。池田エライザは美雪として、女子高生役に挑戦。同級生役には橋本愛や久保田紗友など、実力派が並ぶ。
「松居監督とはいつかご一緒できたらいいなと思っていたんですが、まさか学生役とは思いませんでした。最初こそ、“どうして私なんだろう?”と混乱したんですけど、振り返ってみると、この作品でお会いできてよかったなと思います。撮影時17歳だった阿達くん以外は周りのキャストもみんな大人だったので、みんな一緒なら学生役も怖くない、というマインドになりました(笑)。それでも、1人1人が東京から離れた尾道に本気で青春をしにきているような、青い空気感のある現場でした。映画ではその青さを切り取ってもらえていますし、だからこそ、展開がより残酷に見えると思います」
スクールカーストとは無縁で、学校では誰とでも絶妙な距離感で付き合う美雪。主人公らしいオーラを放ちながら、コミュニティではバランサーとしての役割を担う絶妙な役どころが彼女ならでは。
「他のみんながより濃く、際立てば際立つほど、美雪のポジションはうま味が出てくるような気がしました。なので、お芝居する時は一緒に演じている人より目立とうとせず、むしろ相手がやりたいことを全部、出せたらいいな、と考えていました。気分的には引き立て役です。主演だからというより、自分はもともと、そういう性格なのだと思います。もちろん、自由にやっていい時は自分も全力で前に出ますが、相手のことを観察して、『何が心地いいんだろう』と考えることがすごく好きなんです。映画は1人だけの物語ではありません。主人公以外は断片的に描かれがちだからこそ、台詞にない部分や行間を伝えにきているはずです。主演には十分、語れるところがあるから、作品をより面白く見てもらうためにもそうしたいんです」