感情の動きに“言葉”が追いつく体験

 ノベルゲームは、登場人物の心情をプレイヤーが「読んで、想像して、選ぶ」ことで物語が進みます。喜怒哀楽のニュアンスを行間から読み取る力が求められるため、自然と“感情と言葉の結びつき”が強くなっていきます。

 小説を読むのが苦手な子でも、キャラのセリフや表情があるノベルゲームなら感情移入しやすく、物語の流れを追ううちに「読む力」と「共感力」の両方が養われるのです。

選択肢が思考力を鍛える

「自分ならどうするか?」と考えて選ぶことの繰り返しは、ただの読書とは違い、“自分の頭で考える力”を鍛える絶好の機会です。なぜこの選択肢を選ぶのか、結果がどう変わるか――ゲームを通して「仮説と検証」のクセが身につくのです。

 これは、読解問題や論理的思考力が問われる場面にも強く作用します。

恋愛ストーリーで語彙が自然に増える

 恋愛ゲームと聞くと、「ちょっと不真面目な印象」を抱くかもしれません。しかし実は、登場人物のやりとりには感情表現や比喩、敬語や口語のバリエーションが詰まっていて、語彙力の宝庫です。

 普段の会話では出てこない言い回しや、思春期ならではの葛藤表現などが自然に身につきます。

国語の成績が上がった実感も

 僕自身、実際にノベルゲームで“物語を読む力”が磨かれたと感じています。文章の中のヒントを拾って読み進める感覚が身についたことで、国語の試験問題でも「この人は何を感じているか」「なぜこのセリフを言ったのか」といった問題に強くなったのです。

 ゲーム=悪ではなく、使い方次第で立派な学びの道具になる。“ノベルゲームは、感情と言葉の架け橋”――そう言っても、決して言いすぎではないと僕は思っています。

 もし家にゲーム好きのお子さんがいるなら、頭ごなしに止めるのではなく、「どんな話だったの?」と会話のきっかけにしてみてください。そのとき、きっとお子さんの“語る力”の伸びにも気づくはずです。

※本稿は、『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。