いかりや長介が感激した一大イベント「涙が出ちゃって止まらない」「初めて見た時、引っくり返っちゃって」Photo:SANKEI

女優・樹木希林が悠木千帆の名で活躍していた1976年、月刊誌『婦人公論』で対談連載「心底惚れた」が開始。30代前半の希林さんが、スターたちと「男と女」の話を交わし、本音を引き出す。いかりや長介が、44歳で語った男のロマンとは――。※本稿は、樹木希林『人生、上出来 増補版 心底惚れた』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

男のロマンというのは
年齢とともに刻々変わっていく

悠木千帆(後の樹木希林。以下、悠木) 長さん、だってたくさん女の人をつくっても、だれも文句言いませんよ。

いかりや長介(以下、いかりや) いや、文句は言わせないけれど。

悠木 ほかに何を考えているんですか。

いかりや ぼくですか。ウーン。女にもあるように、男にもロマンというのがある。

悠木 それが聞きたいのよ。ロマンが(笑)。

いかりや ぼくはね、そのロマンというのは年齢とともに刻々変わっていく。ぼくの場合はですね。ぼくは、ロマンが利益を生んだり何かするという、そういうロマンはきらいなんですよ。

 でも、事業をロマンという人もいるし、お金をためることがロマンという人もあるし、ぼくはむしろ逆でね、人から、わりかし、あいつばかだなと言われることがすごくうれしいんですよね。あいつ何であんなことに金かけるんだとかね。1つは、見栄かもわからない。奇をてらうというのかな。

悠木 もう少しロマンについて具体的に言うとどんなことですか。

いかりや そうですね、やっぱりいろんな人間と知り合いたいということですね。これは男も女もひっくるめてね。