
女優・樹木希林が悠木千帆の名で活躍していた1976年、月刊誌『婦人公論』で対談連載「心底惚れた」が開始。30代前半の希林さんが、スターたちと「男と女」の話を交わし、本音を引き出す。コメディアン・萩本欽一が、人気絶頂の34歳当時に明かした家庭観とは――。※本稿は、樹木希林『人生、上出来 増補版 心底惚れた』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
早くカアちゃんと一緒に
住みたくてたまんない
萩本欽一(以下、萩本) 人間一生で50年とするわね、忙しいのは5年だと思ったわけ。5年だけは、ああ1割か没頭しようと思ったわけ。没頭したわけよ。そうしたら、また5年延びちゃったわけ。
だから、ぼくはいつでも思うのは、来年こそは人気がなくなるから、人気がなくなったらやめて、結婚しようと毎年思うわけ。だから、週刊誌の人が、結婚はというと、来年の春。いつも言うの。そういつもきめているわけよ。
悠木千帆(後の樹木希林。以下、悠木) それがたまたま延びるだけね。
萩本 よし、この1年は徹底的にいこうといって、やったらさ、その1年が……。
悠木 またそれも延びる可能性あるわけですよね。
萩本 ですから、来年春、と言って5年言い続けているわけですよ。お前、うそじゃないか。いやいや、精神的にはそうなわけ。来年の春はちゃんと没頭、没入したいと思っているわけ。それが夢だから。だから、結婚したくないんじゃなくて、早くカアちゃんと一緒に住みたくてたまんないわけ。
悠木 ところが、人気も落ちて、いざ結婚できるときになったら、相手はいませんよ。
萩本 いえ、だから……だから、ちゃんとツバつけておいてさ、えいっと。