これはすぐに捜さなければ事件に巻き込まれたり、生命に危機が及ぶ可能性もあったりすると思い、私はすぐに清実さんのお宅に伺いました。

母名義のクレジットカードの使用履歴
地名に不安を覚える母

 清実さんから状況を聞き取りながら、私はまず「何か香奈さんの足取りを追える手がかりはありませんか?」と問いかけました。

 彼女はしばらく沈黙した後、ふと思い出したように言いました。

「そういえば、娘に何かあったときのために、私名義のクレジットカードを渡してあったんです。使ってるかどうかまでは分かりませんが」

 すぐにカード会社のマイページにログインしてもらい、直近の利用履歴を確認してもらいました。

 そこには、失踪した日の翌日から複数の決済履歴が残されていました。コンビニでの少額決済が3件あり、その後は某株式会社の名前で6600円の支払いが記録されていたのです。

 私はその社名をネット検索したところ、ネットカフェチェーンの運営会社でした。

 すぐにカード会社に利用内容を照会してもらい、利用のあった店舗が歌舞伎町にある“鍵付き個室”タイプのネットカフェであることが分かりました。

 地図で店舗の場所を見た清実さんは、「歌舞伎町」という文字にとても嫌な予感がしたのか顔を覆っていました。

 清実さんには香奈さんが帰ってきたときのために在宅してもらい、何か分かればすぐに連絡することにして、ひとまず私だけで捜しに行きました。

 1時間後に着いたのは、新宿・歌舞伎町にある雑居ビルの3~5階部分を占めるネットカフェでした。

 利用の受け付けをするときに、身分証の提示は求められませんでした。これほど簡単に誰でも利用できるシステムなのかと少々驚きました。

 5階の個室フロアに入ると、そこにはまるで迷路のような構造が広がっており、廊下には若い女性や男性、サラリーマン風の男性など数人が行き交う様子が見られました。

 廊下は広々として、フリードリンクや共有スペースとしてソファも置いてありました。