「全部どうでもよくなった」家出して歌舞伎町に堕ちた19歳少女、ネカフェP活から救ったシンママの愛きっかけはほんの小さなつまずきだった。けれど、それをきっかけに滑り落ちていく場所が、歌舞伎町には存在している(写真はイメージです) Photo:PIXTA

筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。探偵歴十数年、これまで様々な調査を経験してきました。ご相談の多くは不貞調査ですが、時には命に関わるような依頼が舞い込むこともあります。今回は、家出した19歳の娘の行方を追って新宿・歌舞伎町に潜入した、ある母親の強い思いと、それに応える形で動いた調査をご紹介します。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳、登場人物はすべて仮名)

娘が3日間も家に帰らない
シングルマザーの心配

「娘が帰ってこないんです…」

 ある日、事務所に1本の電話が入りました。

 声の主は、都内在住のシングルマザー・牧原清実さん(42歳)でした。

オオカミ少年・片岡正徳オオカミ少年・片岡正徳

 娘の香奈さん(19歳)が、3日前から家に帰ってこないというのです。

「これまでは友達の家に外泊することはあったのですが、連絡もなく3日間も家に帰らないことはありませんでした。何度も電話とメッセージを送りましたが既読にもなりません。娘の部屋の様子を見たところ、旅行用に使っていたキャリーケースがなく、服や下着もたくさん持って出ているようで、家出ではないかと思います」

 警察には届け出を出していたものの、事件性がないとして積極的には動いてくれなかったそうです。

 清実さんの声は震えており、焦りと不安、そして“母親としての責任”に押しつぶされそうな様子が電話越しにも伝わってきました。