好材料だけでは「買い」の決め手にならない理由
このときのニデックは、たしかに業績もよく、ニュースもプラスの内容ばかりでした。でも、“すぐに買う”という選択はしません。
なぜかというと、「いい材料が出たあと」の値動きには、注意が必要だからです。すでに好決算を織り込んで、株価が高値圏に入っている場合、材料が出たあとに“出尽くし”で下がることも少なくありません。
株価チャートの“癖”を見抜く
好材料が出る前から徐々に株価が上がることもあります。誰かが先回りして買っていたのでは?」と感じるような動きです。
こういう場合、ニュースが出た瞬間は株価が跳ねても、そのあとすぐに利益確定の売りが出るケースが多いんです。こんなときは、買い注文を出すにしても、慎重な指値注文にします。
これが、後から振り返って“やっぱり良かったな”と思える判断になることがあるのです。
「売り抜け」のタイミングも意識する
私が意識しているのは、いつ買うかと同じくらい「いつ売るか」。チャートを見て、「ここからは上値が重そうだな」と感じたら、たとえ持っている銘柄でも迷わず一部を利確します。
優良銘柄でも、買うタイミングと売るタイミングを間違えれば、利益が出るどころか損をすることもあります。だからこそ、材料だけに飛びつかず、「その後の値動きを想像する」ことが大事なんです。
自分の“納得感”を大切に
結局、株は「納得して買う」「納得して売る」ことが大切です。私は“この材料とこの価格帯なら、この指値が妥当”という判断を自分の中でちゃんと整理して注文を出します。
そのあと株価が上がろうが下がろうが、「自分で決めたルールに従って動けたかどうか」のほうが、よほど大事だと思っています。
情報と感情を切り分ける
いい材料が出ると、どうしても「これは上がるに違いない」と思い込みがちです。でも、そこに感情が入りすぎると、冷静な判断ができなくなってしまいます。
情報と感情を分けて考え、チャートや過去の実績も踏まえて、自分なりの判断基準を持つ。これが、長く市場と付き合っていくために欠かせない“土台”になるのです。
※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。