「目先の情報に飛びつく人」は損をする…冷静な投資家に共通する判断とは?
テレビ・ネットで「日本のウォーレン・バフェット」と話題! 1936年(昭和11年)、兵庫県の貧しい農家に4人兄弟の末っ子として生まれた。高校を出してもらってから、ペットショップに就職。そこでお客だった証券会社の役員と株の話をするようになった。そして19歳のとき、4つの銘柄を買ったことが株式投資の始まりだった。あれから68年、バブル崩壊では10億円あった資産が2億円にまで減った。しかし89歳になった今、資産は20億円以上に増え、月6億円を売買しながら、デイトレーダーとして日々相場に挑んでいる。隠しごとなしに日常生活から投資法まで全部書いた話題の書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。

材料が良くても「買わない」判断もある
好材料が出ても、チャートと照らし合わせて「買わない」という選択をすることもあります。
以前、午前8時16分にニデック株の買い注文を出しました。その際、「8050円」で、指値で注文しましたが、これがいい例です。
ニデックの好決算をチェック
ニデックは、京都に本社を置く電機メーカーです。2023年に社名を変えましたが、私にとっては旧社名の「日本電産」のほうがなじみ深い名前です。
この前日、ニデックは第1四半期の決算で、EV(電気自動車)向けのモーターなどの事業が黒字に転換し、売上高・最終利益ともに過去最高を記録したと発表しました。これはもちろん、かなりいい材料です。
カリスマ経営者への期待と警戒
同社の永守重信代表取締役グループ代表は、間違いなくカリスマ経営者です。
ただカリスマ経営の企業は、最終的に自分たちが利益を得るような株価操作が上手なので、個人投資家としては注意も必要なんです。
数字で見るニデックの業績
以前、決算発表の翌日、朝起きてすぐに「ニデック過去最高益」との報道を見て、ニデックの銘柄を見にいくことにしました。
決算をみると。売上高は前年同期比4.8%、営業利益は34.7%、税引前利益が51.0%。売上高がそこまで上がっているわけではありませんが、営業利益と税引前利益はなかなかの上昇率です。
通期予想との比較で見極める
この数字は第1四半期の決算でしたから、次に年に換算するため、ここで出た数字を4倍します。
第1四半期の売上高が5660億5500万円ですから、それを4倍すると年間売上高は2兆2642億円ほど。通期予想が2兆2000億円ですから、予想と大きくは乖離していないということになります。ただし、これは前年同期比マイナス1.9%で、1株利益は287円になります。
四季報と過去実績の確認
次に四季報を見て、過去の売上高や1株利益を確認。2023年3月決算で営業利 益や税引前利益が落ち込んでいるものの、順調に伸ばしていることがわかります。