断るときは「代替案」や「次のアクション」を示す
20万部のベストセラー、200冊の書籍を手がけてきた編集者・庄子錬氏。NewsPicks、noteで大バズりした「感じのいい人」の文章術を書き下ろした書籍『なぜ、あの文章は感じがいいのか?』(ダイヤモンド社)を上梓しました。
実は、周囲から「仕事ができる」「印象がいい」「信頼できる」と思われている人の文章には、ある共通点があります。本書では、1000人の調査と著者の10年以上にわたる編集経験から、「いまの時代に求められる、どんなシーンでも感じよく伝わる書き方」をわかりやすくお伝えしています。

感じのいい人が断りメールの最後に添える「シンプルな一言」とは?Photo: Adobe Stock

印象が悪くならない「断る技術」3選

前回の記事では、嫌われずに断る方法として「そもそも断る場面をつくらない」ことを挙げました。
ただそうはいっても、現実に、どうしても断らなくてはいけないシーンはあると思います。

そんなときのポイントが次の3つです。

①寝かさず、すぐ断る

断るのって面倒なので、つい後回しにしてしまいがちです。

でも返答が遅れるほど、相手の期待はふくらんでしまいますし、あとから断ったとしても「検討の余地があったのかな。もう少し押せばいけそうだからまたお願いしてみよう」と相手を勘違いさせてしまうかもしれません。

時間を空けずに断って「無理なものは無理」というスタンスを早いうちに示したほうがいいと思います。

②「絶対断る」の基準を決めておく

とはいえ、すぐ断るのは容易ではありません。相手の事情や自分のスケジュールを考えながら、どうしようかなとあれこれ悩んでしまうものです。

少しでもその時間を短縮するためには「この条件の場合は、絶対に断る」と決めておくのも一手です。

たとえばぼくの場合、初対面の人が多い5人以上の飲み会やカラオケは断るようにしています。理由は経験上5人を超えると話題が分散し、会話を掘り下げることが難しくなるからです。だから講演会後の懇親会や大人数の飲み会は、「どうしても……」というケースを除き、参加を断っています。

③代替案や次のアクションを示す

断りっぱなしの人っていますよね。
たとえば、次のようなやりとり。みなさんも経験がありませんか?

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相手 「今度ランチに行きませんか?」
あなた 「いいですね! この日程はどうでしょうか?」
相手 「すみません、この日程は難しいです!」
あなた 「……」
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向こうから誘ってきたにもかかわらず、新たな日程候補を出してこない。まさに断りっぱなし。思わず「あれ、この人私とランチ行きたくないのかな?」と不安になってしまいますよね。同時に「じゃあ何日がいいの? 誘ってきたのはそっちなのに全部私がリードするの?」なんてむっとするかもしれません。

こうしたやりとりでは断ること自体より、「断ったあとの対応」が問題です。

「来週のこの日ってどうですか?」「チーム会議が入るかもしれないので、明日にでも私から別の日程を提案させてください」のように、代替案や次のアクションを示す一言があるかないかで、印象は大きく変わります。

このとき、「◯◯さんとランチに行けて、うれしいです!」「楽しみですね!」といった感情表現をプラスすると、より誠意が伝わり「約束を実現したい」という気持ちが相手に届くはずです。

庄子 錬(しょうじ・れん)
1988年東京都生まれ。編集者。経営者専門の出版プロデューサー。株式会社エニーソウル代表取締役。手がけた本は200冊以上、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(22万部)など10万部以上のベストセラーを多数担当。編集プロダクションでのギャル誌編集からキャリアをスタート。その後、出版社2社で書籍編集に従事したのち、PwC Japan合同会社に転じてコンテンツマーケティングを担当。2024年に独立。NewsPicksとnoteで文章術をテーマに発信し、NewsPicksでは「2024年、読者から最も支持を集めたトピックス記事」第1位、noteでは「今年、編集部で話題になった記事10選」に選ばれた。企業向けのライティング・編集研修も手がける。趣味はジャズ・ブルーズギター、海外旅行(40カ国)、バスケットボール観戦。

※この連載では、『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』庄子 錬(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集して掲載します。