
部下にポジティブな声がけをするのは良いことだが、ネガティブな指摘ができないのは考えものだ。「一見優しそうな上司」と「本当に優しい上司」の違いとは何だろうか。
ダイヤモンド・オンライン会員限定で配信中の本連載をまとめた電子書籍『結果を出す人の仕事術』(石倉秀明著)の発売を記念して、特別編をお届けする。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)
「優しそうな上司」と
「本当に優しい上司」の違い
昨今、ハラスメントのリスクもあるからなのか、「優しい上司」が増えているといわれています。
ただ、部下にいくら表面上で優しい言葉をかけていたとしても、必要なネガティブな指摘ができない、問題から目を背けてしまう人は本当に優しい上司とはいえません。
上司にとって最も重要な仕事は、部下が成果を上げて、その成果がきちんと会社に評価されるようにすることです。そうでないと、部下の頑張りは報われません。
上司は「会社はどんな人を評価したいと思っていて、そのために部下には何が足りないのか。その部分を伸ばすにはどうすればいいのか」を理解し、部下に伝える。このことが、部下のやっている仕事がきちんと評価され、部下のキャリアの選択肢を広げることにつながるのです。
「私は評価しているんだけどね」で
部下は上司に幻滅
『結果を出す人の仕事術』にも書きましたが、部下の仕事の評価が良くなかったときに「私は評価しているんだけどね」と声をかける上司がいます。
「自分はあなたの頑張りがわかっているよ」というフォローのつもりかもしれませんが、これは私にはあなたの評価を上げることができないと言っているのと同義です。
部下からは優しい上司だと思われるどころか、「この人には何を言ってもダメだ」と信頼を失ってしまいかねません。
ポジティブな耳障りのいい言葉ばかりをかけて、本当に必要なアドバイスをしない上司は、結果的に部下のキャリアの可能性を狭めて、不幸にします。嫌われたくない気持ちがあるのかもしれませんが、改善すべきことはきちんと指摘することが大事です。
山田進太郎D&I財団 COO。2005年に株式会社リクルートHRマーケティング入社。その後、リブセンス、DeNA、起業などを経て2016年より株式会社キャスター取締役COOに就任(2021年より取締役CRO)。2023年10月の東証グロース市場上場に貢献し、2023年12月からは働き方について研究、調査を行うAlternative Work Labを設立し所長就任(現在も兼任)。FNN系列「Live Newsα」、AbemaTV「ABEMAヒルズ」レギュラーコメンテーター。著書に『これからのマネジャーは邪魔をしない。』(フォレスト出版)、『THE FORMAT 文章力ゼロでも書ける究極の「型」』(サンマーク出版)など。
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