ジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラ、フィリップス、住友商事(アドバイザリー・ボード・メンバー)などグローバル・エクセレント・カンパニーでトップマネジメントを務めてきた新将命氏が、次世代の世界、次世代の日本を担う若手経営者を迎え、世界とわたり合えるグローバルリーダーとなるための原理原則について語り合います。
今回のお相手は、電動バイクの国内トップメーカーで中国、フィリピンなどアジアにも展開するテラモーターズ株式会社代表取締役の徳重徹氏です。

日本人にはなぜ起業家が少ないのか

新将命(以下、新) 私は志の高い会社で働くことで自己実現を果たしたいと、転職を重ね今に至るわけですが、ベンチャーを立ち上げようと思ったことはないんですよ。これは個人の価値観の問題だから、ベンチャーがいい、悪いとは思わない。ただ、若い世代が起業しようと思えない国の未来は暗いのではないかと危惧しています。

徳重 徹(とくしげ・とおる)
テラモーターズ株式会社代表取締役。1970年山口県生まれ。九大工学部卒業。住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)にて、商品企画等の仕事に従事。その後、米国ビジネススクール(MBA)に留学し、シリコンバレーのインキュベーション企業の代表としてIT・技術ベンチャーのハンズオン支援を実行。事業の立上げ、企業再生に実績残す。経済産業省「新たな成長型企業の創出に向けた意見交換会」メンバー。一般社団法人日本輸入モーターサイクル協会電動バイク部会理事。

徳重徹(以下、徳重) 僕が仕事をしていたシリコンバレーには、アップルやグーグルなど成功事例がたくさんあります。しかし日本にはそういった成功事例がない。成功事例がないから後に続くベンチャーも出てこない。そこに問題があるのではないでしょうか。

 日本人も日本の企業も、失敗者に冷たいからね。日本人は、あいつは一度失敗したからもうダメだ、立ち直れないだろうと思う。対してアメリカ人は、あいつは一度失敗したから失敗から学んだだろうと、リカバリーショットを打つ機会を与えてくれる。起業家を育てるための公的な制度も充実しているから、失敗を恐れずにチャレンジできますよね。

徳重 僕はもともと大企業にいたんですが、29歳で会社を辞めて、アメリカに行きました。MBAを取得した後にシリコンバレーに5年半ほどいて、ベンチャー企業のインキュベーションに携わったのですが、これまでにたくさんの失敗をしました。でも失敗したっていいと思っている。失敗がエネルギーになったりするので。

 日本人は良くも悪くもパーフェクショニスト(完璧主義者)ですからね。もうひとつ言えば、アメリカでは若い経営者やベンチャー企業に投資する「エンジェル(投資家)」がいますが、日本には多くありません。だから徳重さんのように起業しようと考える日本人は非常に少なく、世界で最低レベルというデータもあります。

 日本は起業したいと思う気持ちを潰す条件がみごとにそろっている国なんです。そうした文化的、社会的背景が整ってこなければ、今後起業家は増えていかないでしょうね。