あなたは最近、仕事で「考える」ことが増えていませんか? 新しい商品やサービスの企画。販売や宣伝の立案。マネジメント、採用、組織運営の戦略など。従来の方法が通用しなくなったいま、あらゆる仕事で「新しく考える」ことが求められます。でも、朝から晩まで考え続けた結果、何も答えを得られずに1日が終わる――そんな経験のある人が多いのでは。
「その悩み、一瞬で解決できます」。そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に発想や思考の研修をしてきた石井力重氏です。古今東西の思考法や発想法を駆使して仕事の悩みを解決してきた石井氏ですが、なんとそのほとんどはAIで実行できたと言います。そのノウハウをまとめたのが、書籍『AIを使って考えるための全技術』。この記事では同書から、AIを使って「創造性の高い意外な解決策を生み出す」ための技法を紹介します。

アイデアへのヒントを「アート」に求める
2018年ごろからでしょうか、ビジネスパーソンとアートとの距離がだいぶ近づきました。その多くはリベラルアーツ(教養)としてのアートという文脈ですが、じつはアイデア発想にもアートって使えます。
ギャラリーや展覧会、博物館などで様々な時代や領域の芸術に触発されるのがストレートなアプローチ。手軽にやるなら、画集をめくる、オンラインやVRで鑑賞するといった方法もあります。
すると、いざアイデアを考えるときに、記憶にストックされたアートたちが思い出され、そこからエッセンスを抽出して考える題材と結びつけることができます。
芸術経験の不足をAIに補ってもらう技法「アートの示唆」
とはいえ、言うは易く行うは難し。自分が抱えている課題と、アートのエッセンスを結びつけることは、負荷の高い作業です。要するに、どうやってやればいいのかわかりませんよね?
そこで、AIの力を借ります。
そのための方法が、技法4「アートの示唆」です。AIへの指示文は、こちら。
〈課題を記入〉
このお題に関して、有名な小説や絵画から得られる創造的なアイデアは何ですか?
アートに関する知識や経験がなくとも、AIが小説や絵画といったアートに含まれた魅力的なエッセンスを抽出し、主題に組み合わせてアイデアを生成してくれます。
プロンプトをそのまま使えば、定番の有名芸術家たちが抽出されます。自分が好きな作品や感動した作品などを挿入すれば、より個性的なアイデアに。プロンプトにある「有名な」を他の形容詞、国名、年代、流派などに変えると、また回答が変わります。
発想を大きく飛ばしたいときに、この技法を使ってみてください。たとえば、妥当な案、新奇性を盛り込んだ案、アバンギャルドな振り切った案を作りたい、でもそんなアイデアなんて出せないよ、という場合にとくにおすすめです。
「健康習慣」を促進するアイデアを考えてみよう
この技法、仕事における課題はもちろん、プライベートの悩みにも大いに活用できます。健康、運動に関するアイデアに使ってみましょう。
〈一日1万歩歩くという目標を毎日達成するにはどうすればいいか〉
このお題に関して、有名な小説や絵画から得られる創造的なアイデアは何ですか?
私自身、こう聞かれたら「むむむ……」と詰まってしまいます。さて、AIはどんなアートからヒントを見つけてくるのでしょうか?