仕事ができない人は「リスクを考える」ことに無駄に時間をかける。では、優秀な人がやっている「一瞬でリスク検証する」方法とは？

あなたは最近、仕事で「考える」ことが増えていませんか？ 新しい商品やサービスの企画。販売や宣伝の立案。マネジメント、採用、組織運営の戦略など。従来の方法が通用しなくなったいま、あらゆる仕事で「新しく考える」ことが求められます。でも、朝から晩まで考え続けた結果、何も答えを得られずに1日が終わる――そんな経験のある人が多いのでは。
「その悩み、一瞬で解決できます」。そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に発想や思考の研修をしてきた石井力重氏です。古今東西の思考法や発想法を駆使して仕事の悩みを解決してきた石井氏ですが、なんとそのほとんどはAIで実行できたと言います。そのノウハウをまとめたのが、書籍『AIを使って考えるための全技術』。この記事では同書から、AIを使って「リスクを検証する」ための技法を紹介します。

アイデアをブラッシュアップする手法「PPCO」

「PPCO」と呼ばれる、本格的なアイデアのブラッシュアップ（改良）方法があります。「Plus Potential→Concern→Overcome」と続くプロセスの頭文字を取った名称です。新事業企画だけでなく、教育現場や地域課題の解決にも使われます。

　・Plus Potential
　あるアイデアの良い面や潜在的な可能性を思いつくかぎり列挙し、「褒める」ブレインストーミング

　・Concern
　同じアイデアの懸念事項（心配なところ）を列挙し、「批判する」ブレインストーミング

　・Overcome
「これは重要だ」と思う懸念事項に各自が投票し、上位3つを決定する。最上位の懸念事項の「克服方法について考える」ブレインストーミング

　以上のプロセスを踏みます。最初に1つのアイデアがあって（選択されていて）、そのアイデアのメリットを見える化し、デメリットは潰していく。まさにブラッシュアップの手法です。

　このPPCOの過程を経ることで、もともとのアイデアの創造性を維持しつつ、実現可能な「アイデア入りの企画」にしていきます。

アイデアの潜在リスクをAIで検証する技法
「リスクの検証」

　PPCOが本格的と呼ばれる理由は、リスクの発見と順位付けにおける有用性ゆえ。
　よって、経験の浅いビジネスパーソンにはハードルの高い作業でもあります。

　このPPCOプロセスをAIに実行させるのが、技法30「リスクの検証」です。
　そのプロンプト（指示文）が、こちら。

　※プロンプト①であがったリスクのなかで、とくに重要だと思うものを選んで②を使ってください

　人力だと早くても数時間はかかる作業を、やすやすと数分で実施できます。アイデアのリスクについてもかなり広く検証し、可能性をあげてくれます。

　プロンプトは基本的にPPCOの順番どおりなのですが、リスクの抽出作業はAIにとっても処理量が多いので、いったん抽出だけを行うようにしています。

　そしてAIの回答のなかから最上位のリスクを人間が選び、そのリスクへの対応とアイデアのバージョンアップを再度AIに依頼する。そんな2段構えの構造になっています。

「シェアハウス開業」アイデアの
リスクを検証してみよう

　商品やサービスであれ、事業であれ、新しいアイデアにはリスクが付き物。

　たとえば「シェアハウス」事業を始めるとしたら、これは確実にリスクがあるなと想像がつきます。でも具体的にリストアップしろと言われても、どこから手を付けていいか迷いますよね。すかさず技法「リスクの検証」を実行しましょう。

　経験がない領域のアイデアや企画を検討するときには、漏れが怖い。AIの網羅性に期待です。