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ゲームコンテンツは文化になれないのか?
コンプガチャ騒動から1年を経た業界の現状
――ソーシャルゲーム・バブル崩壊後の展望【前編】

石島照代 [ジャーナリスト]
【第37回】 2013年6月10日
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 南場氏がディー・エヌ・エーの社長として最後に更新したブログを読むと、企業の成長と継続性における社会的認知の重要性に触れた記述がある。

〈私はDeNAが大好きだ。正直で、一生懸命で、いつも新しいことに挑戦していて、若いメンバーにどんどん大きな舞台が用意されるそんなDeNAが大好きだ。この会社が世界で大きなうねりを起こすためには、もっともっと世の中に愛される会社にならなければと思う。〉(南場前社長のブログより)

 筆者は昨年、8年ぶりにプロ野球を観戦した。場所は横浜DeNAベイスターズのホームグラウンド、横浜スタジアム。対阪神戦である。

 訪れた理由は、「対阪神戦の時に、『この、コンプガチャ野郎~』というヤジが聞こえるらしい」という噂の真偽を確かめにいくことだった。

 ところが、買ったチケットがまずかった。外野指定席といえば、聞こえるのは応援歌だけに決まっている。ファンと一緒にベイスターズの応援歌を歌い、逆転勝ちした頃にはすっかり横浜ファンになっていた。いったい何をしに行ったのであろうか。

 コンテンツビジネスはたくさんあるが、野球はやはり面白い。ソフトボール部のレギュラーベンチウォーマーだった筆者でも、あらためてそう思った。加えて、親会社が変わり続けても応援し続けるベイスターズファンのけなげさにも感動した。今季こそ、けなげなファンと南場前社長の意志に報いるべく、クライマックスシリーズ出場を目指してがんばってもらいたい。親会社にさきがけて、横浜DeNAベイスターズが、世の中に愛されるチームになるのも悪くないだろう。

任天堂宮本茂専務の「アストゥリアス皇太子賞」で
評価された「文化としてのゲームコンテンツ」

 社会的認知の向上と市民権の獲得は、事業の持続可能性を求めるゲーム業界全体における積年の課題である。その課題に対し、ディー・エヌ・エーはプロ野球チームの買収という形で解決の足場形成に成功したわけだが、一方で事業本体の魅力でコストをかけずに、社会的認知の向上と市民権の獲得を世界的に得た企業がある。任天堂だ。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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