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ゲームコンテンツは文化になれないのか?
コンプガチャ騒動から1年を経た業界の現状
――ソーシャルゲーム・バブル崩壊後の展望【前編】

石島照代 [ジャーナリスト]
【第37回】 2013年6月10日
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「自分の子どもには絶対にやらせたくないが、
儲かるから続けたい」

 その暗い気持ちを加速させるような出来事が、昨冬あった。ある会合で執行役員級の業界関係者と会った時の話である

 軽い雑談の後で、「ところで、ソーシャルゲームの話なんですけどね」と切り出すと、露骨にいやな顔をされた。それでも、「ああ、イシジマさんの記事のせいで規制が入った話ね」と冗談めかして、紳士的に返してくれたにもかかわらず、「それが事実ならば、大変光栄ですね」と返してしまったのは、筆者が単に大人げなかったからである。

 それでも、筆者の表情が硬いままなのを見た相手は、「冗談だよ、冗談…」といった後、本音を吐露した。

 「正直、ソーシャルゲームはなんであんなに儲かるのか分からんね。自分が古い人間だからかもしれないけどさ、あんなに際限なく金を使わせるものなんか、自分の子どもにはやらせたくないし、やらせない。

 しかも、いままではゲームがつまらないだの、価格が高いだのってバッシングされてきたわけだろ。でも、それが全部違ってたってことだもんな。いままでの自分らの努力って何だったんだろうなと思うよ。まあ、それも悔しいよな。でも、」

 幹部はそういってまじめな顔になった。

 「ソーシャルゲームでウチが儲かってるのは事実だし、遊びたい人がいるから、対応しているだけなんだ。あんまりいじめないでくれ、頼むよ」

 ソーシャルゲームは自分の子どもには絶対にやらせたくないが、儲かるから続けたい。儲けるためには社会の健全性を損なうことを仕方がないと見なす空気が、小さな子どもも消費者として関わっているこのゲームコンテンツ市場において醸成されるとは、全く予想できなかった。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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