湾岸諸国のAI投資、米テック大手は警戒すべきPhoto:Bloomberg/gettyimages

 一部の中東諸国が世界有数の人工知能(AI)向け投資国として台頭している。その恩恵を受けている企業は用心した方がいい。そうした企業の株主もだ。

 サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどの中東湾岸諸国は、米マイクロソフトや米オープンAIとのデータセンタープロジェクトに巨額の資金を投じ、米エヌビディアや米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などから半導体を大量に購入している。AI分野の構想を推進するのが狙いだ。

 こうした国は、テック分野で外国企業に頼りきるのではなく、国内でAI産業を育成することを目指している。国家の威信をかけてアラビア語のAIモデルを自前で開発しようとする国も多い。AI投資は長年取り組んでいる経済多角化とも合致する。

 エヌビディアは5月、UAEとサウジに半導体を数百万個売却する契約を結ぶと、株価の週間上昇率が15%に達した。AMDもサウジアラビアと最大100億ドル(約1兆4400億円)規模の契約を結び、株価が上昇した。

 両社は米国の輸出規制により、実質的に中国の先端AI半導体市場から締め出されたため、この契約は朗報だった。輸出規制で特に打撃を受けたのはエヌビディアだ。同社はそれまで、今後数年で年間500億ドルに達すると見積もるこの市場で最大手だった。

 各国がAI向け投資を増やす中、テック各社は中東諸国が支出拡大を続けることに期待している。ただ、これが長期的に持続可能な収益源になるかどうかは疑問だ。