高知空襲の夜
ひとりで逃げるのぶが見たものとは…
お見舞いのあと、実家に立ち寄るのぶ。
次郎は肺病(肺浸潤)に罹っているのだと報告するが、結核とは違って治る可能性は十分あると蘭子(河合優実)。なぜか病気に詳しい。
「豪ちゃんも病気になってもんてくればたらよかったのにねえ」とくら(浅田美代子)。
悪気がないのはわかっているけど、なかなかブラックな表現である。でも蘭子は感情を害している様子はない。「お姉ちゃんは幸せものながよ 次郎さん早く元気になるといいね」とのぶを思いやる。
このとき、メイコ(原菜乃華)はすりこぎをくねくねと回していて、家事を全然していない現代っ子に見える。台所にきれいな青物がおかれているが小気味よく切ったり調理したりしないのが惜しい。
その晩、のぶは泊まらず高知に戻ると、空襲警報が鳴り響き、街は火に包まれた。
1945年7月4日、高知空襲である。
たったひとりで毅然と逃げるのぶ。その途中、子どもの泣き声を聞いて、あたりを探すと、少年なおき(二ノ宮陸登)が逃げ遅れていた。怯えて動けないなおきを「たっすいがはいかん!」と叱咤するのぶ。

「ハチキンがついちゅうき大丈夫や」と一緒に逃げる。このときの今田美桜の表情と声の力は印象的だ。
なおきにとってはのぶがヒーローに見えたことだろう。ここは燃える街のなかを少年の手を引いて全力疾走するのぶを見たかったが、そういうスケールは求めてはいけない。
御免与町では、羽多子(江口のりこ)がいてもたってもいられないと水筒に水を入れ、高知にのぶを探しに行こうとする。蘭子もメイコも一緒に向かった。
高知はすっかり灰色の焼け野原。倒れた人たちを見てメイコは絶望に泣き崩れる。
そこに現れたのぶとなおき。
みんなでなおきの母(土井玲奈)を探すと、母が現れ感動の再会。中国ではリンという少年が悲劇に遭っていたが、高知ではなおきという少年をのぶが助けた。