戦争も、教育も、すべてが塗り替えられた…朝ドラ『あんぱん』折り返し地点で見えたこと【第61回レビュー】『あんぱん』第61回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第61回(2025年6月23日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

ちょうど『あんぱん』前半の折り返し
終戦を迎えた日本

「みんなも知っちゅうとおり、日本は戦争に負けました」

 終戦を迎えた日本。8月15日というと夏休み中なのか。昭和20年(1945年)9月。のぶ(今田美桜)は生徒たちに「先生はみんなあに間違うたことを教えてきました。先生は間違ごうていました。ごめんなさい」と謝罪する。

「ごめんなさい先生は……」

 その言葉の続きはなく、すぐあとに流れた「賜物」はいつになく哀しみを帯びて聞こえた。

 第13週「サラバ 涙」(演出:野口雄大)。13週ということはちょうど折り返しであろう(根拠は過去その年の前期放送の『虎に翼』や『らんまん』が全26週だったから)。前半の終わりだから心して見たい。

 タイトルバック明けは、終戦から5カ月が経過。市場では飢えた子どもたちが盗みを働いていた。のぶはせっかく買った芋を子どもに盗まれてしまう。でも追いかけていくと、複数の子どもが芋を分け合ってがっついているのを見て呆然となる。きっと空襲で親を亡くしたのだろうと察したことは、あとで次郎(中島歩)との会話でわかる。