クセ強小型株ばかり買う、異端児ファンドが最優秀賞をかっさらった戦略が面白すぎる

ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025の日本中小型株部門で最優秀賞を受賞したのが、「カレラ 日本小型株式ファンド」だ。時価総額2000億円以下の小型株だけを対象とし、造船銘柄などの割安株を中心に運用している。2024年まで日本株市場では大型割安株ブームが続き、中小型株にとっては厳しい投資環境だった。そんな環境下でも優秀な実績を残している秘訣について、ファンドマネージャーの児嶋竜三さんに聞いた。(須賀彩子、ダイヤモンド・ザイ編集部)

アナリストが見向きもしない株が
じつは一番伸びる

児嶋竜三さん児嶋竜三(こじま・りゅうぞう)さん●1979年一橋大学商学部卒(専攻:証券市場論、投資分析論)。安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)で企業アナリストを経て、ファンドマネージャーとして年金などを運用。日本株アクティブ運用に約19年間従事。2004年ヒューミント投資顧問(現キャピタル・アセットマネジメント)を設立し、CEO兼CIO。2011年カレラアセットマネジメント設立、運用部長CIO。証券アナリスト協会検定会員/宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター。
Photo by Kuninobu Akutsu

――「カレラ 日本小型株式ファンド」の運用の特徴を教えてください。

児嶋 まず、中小型株ではなく、「小型株」だけに特化して運用しています。

――小型株というのは、時価総額でいうと、どれくらいですか?

児嶋 投資する時点で1000億円未満です。その後株価が2倍になり2000億円くらいになったら売却するというイメージです。

――なぜ、そこまで“小さい銘柄”にこだわるのですか?

児嶋 投資チャンスが大きいからです。小型株は、カバーしているアナリストや機関投資家による投資がほとんどありません。多くの人に注目されていないので、割安性と成長力の両方を持っている銘柄が存在します。多くの人によく知られている銘柄は、業績成長が期待できると、株価が割高になりがちです。

 ただし、小型株は流動性(出来高)が小さいというリスクもあります。売却したいときにすぐに売却できない、というリスクを取ることになります。

――銘柄はどのように選定するのですか?

児嶋 経済産業省が公表している「グローバルニッチトップ企業100選」などを参考にしています。ニッチ市場でトップシェアを誇る企業は、高い競争力を持っています。また、割安性を重視しているため、PER(株価収益率)は10倍以下、PBR(株価純資産倍率)は1倍以下を目安にしています。

――小型株投資ならではの特徴を教えて下さい。

児嶋 まず、業績予想がしやすい点が挙げられます。大企業のように複数の事業を展開しているわけではなく、たいてい、一つの事業に特化しています。

 そして、流動性が小さい。このため、株価の動きが少ない時にコツコツと買い進めます。そして、業績発表などのサプライズで出来高が急増し、株価が急騰するような場面があればそこで売却します。

3勝2敗でも市場に勝てる
小型株ならではの運用法とは

――なるほど、大型株投資とは違って独特ですね。

児嶋 はい。アナリストがカバーしていないため市場予想がなく、企業発表が株価に与える影響が大きいことも特徴です。だからこそ、そこに投資チャンスがあります。