小型株は、期初に発表した業績予想を途中で変えない傾向があります。経理や財務、IRなどの人材が不足していることが理由の場合もあるのですが、上期の業績が順調に進んでいるのに中間決算で上方修正しないと、株式市場は下期業績が悪化すると勘違いして株価が下がることがあります。ここが買い場になります。そして、期末にいい決算が出ると、株価が上がります。
もちろん、すべての銘柄で、このようにうまく株価が動くわけではありませんが、3勝2敗でも市場平均以上の成績は出せるという自信を持っています。出来高が小さく割安度が大きい分、株価の上昇率が高くなるためです。0勝5敗ということは、まずありませんから。

――小型株ならではのクセがあるんですね。
児嶋 はい。超長期と中期の株価チャートを見るなどテクニカル分析も活用します。長年同じ銘柄を見ていると、上方修正の有無や、株価の動きに季節性や法則性があることが分かるようになります。
――組入銘柄を見ると、造船関連など業種に偏りがあります。何か理由があるのでしょうか?
児嶋 いくつか注目している投資テーマがあります。
まずはGX(グリーントランスフォーメーション)です。化石燃料から、太陽光や風力発電といったクリーンエネルギーへの転換が大きな流れとなっていますよね。じつは、造船業界では前回の造船ブームから約20年が経過し、老朽化した船の入れ替え時期を迎えています。そして、船の燃料も重油から水素やアンモニアなどへの転換が見込まれています。
もう一つは、国内への設備投資の回帰です。2011年の東日本大震災以降、しばらく日本企業は国内への設備投資を控えていました。しかし、コロナ禍以降は国内回帰の流れが強まっています。台湾のTSMCが熊本に、ラピダスが北海道に半導体工場を建設していることがいい例です。
――この3~4年は大型株が好調でしたが、小型株にも投資チャンスは見込めますか?
児嶋 注目しているのが東証改革の流れです。2023年以降は東証改革の追い風もあり大型割安株が好調でした。この流れが小型株にも来るとみています。PBR1倍割れの企業や、内部留保が多い会社は、配当の増額や自社株買いが期待できます。また、東証改革の一環として、TOB(株式公開買付け)やM&A(合併・買収)、親会社による買収なども期待できます。
また、トランプ第1次政権が発足した2017年は、日本株は小型株が上昇しました。日本の大型株は景気に連動しやすいためです。今年も小型株が活躍する年になるとみています。
◆日本中小型株部門 最優秀賞
「カレラ 日本小型株式ファンド」とは
時価総額1000億円未満の小型株で、割安な銘柄に投資する。中小型株型の投信といえば、成長株に投資するものが多いが、PER10倍以下など割安性に着目する。組入銘柄は、ニッチ分野で活躍する造船銘柄や製造業などあまり知られていない銘柄が多い。成績のよさに加えて、割安株運用が奏功し、最大下落率が9.0%と非常に小さい(中小型株型の平均は21.9%)のも魅力だ。
ダイヤモンド・ザイでは1年に1回、「NISAで買える本当にイイ投資信託」を部門別にランキングし、上位のファンドを表彰している。人気や知名度ではなく、データを最重視した完全実力主義のアワードだ。「1.どれだけ上がったか(上昇率)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの独自基準で評価を行う。また、非常に人気があり多くのお金を集めているにもかかわらず成績が振るわない投資信託も、「もっとがんばりま賞」として発表している。
<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧
▼日本株総合部門
▼日本中小型株部門
▼米国株部門
▼世界株部門
▼新興国株部門
▼リート部門
▼フレッシャー賞
▼もっとがんばりま賞
▼(番外編)インデックス型「最安ランキング」
▼当グランプリの「選定基準」はこちら⇒https://diamond.jp/articles/-/363017