人生が停滞する人は「できそうなこと」だけをやる。じゃあ、人生が上向きになっていく人は?
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』は、早くも7万部を突破した。コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

停滞しているときこそチャンス
これまでの私の行動は、まさに「ゆるストイック」を体現してきました。
コロナ禍が明けた今、周囲には社会の変化についていけず、早期引退を余儀なくされたり、「働かないおじさん」になってしまったり、ポジションを失ってしまった人たちを見ることが増えました。
多様な働き方が進む中、世の中は、「やる気のない人に関わるのはコスパが悪い」という事実に気づき、無気力な人々に時間を割かなくなりました。
その事実に本人が気づくことは、さらに難しいことです。
なぜなら、指摘してくれる人がもう誰もいないからです。
だからこそ、今の時代においては、「自分を律するストイックさ」と、他人と違う考えを許容し干渉しない、「寛容さ(ゆるさ)」という、相反するような価値観を同時に持つことが強さに直結する。今こそ「ゆるストイック」が必要。そのように感じています。
「ランダムの力」を活かす
それでは、どのように「ゆるストイック」に生きればいいのでしょう。
期待が現実化する頻度が高すぎると、「当たり前」と感じます。
逆に、少なすぎると飽きてしまいます。
その間を取り、「20~30%でうまくいく」というバランスが、ちょうどいい緊張感と期待感を生み出すのです。
また、SNSの「いいね!」やアプリの通知といったランダムな反応も、同様の仕組みで成り立っています。
これらの通知がタイミングよくバラバラに届くことで、つい何度もチェックしたくなるのです。
この特性は、カジノやギャンブルの中毒性を生む要因でもあります。
しかし、これを生活に活用することで、楽しみながら目標に没頭できる仕組みを作り出すことができます。
たとえば、目標に向けて20~30%の確率でうまくいくぐらいの難しさのタスクを設定し、それに取り組むことで意欲が続きやすくなります。
5回に1回の確率でうまくいくこと
ちなみに、私は仕事ではあえて、「できなさそうなこと」を目標に掲げます。
今の自分ではかなり背伸びをしないと絶対に届かないような目標設定をするようにしています。
なぜなら、現在の自分が「できなさそう」だと感じることは本当にできないことではないからです。
本当にできないこととは、現在の自分には「思いつきもしないこと」です。
できるかできないかを考えられる時点で、その目標はできることの「射程圏内」に入っていると捉えたほうが正しいです。
人間は、自分の能力がアップデートされていくことを考慮に入れて目標設定するのが苦手です。
時間と共に知識は増えていきスキルも上がっていきます。
つまり、現在の自分にとって「できそうなこと」は将来の自分にとっても「楽勝でできること」である可能性が高いです。
逆に、現在の自分にとって「できなさそうなこと」こそが、自分にとって「最適な難易度の目標」と考えることができます。
こういった目標設定をすると、日々の試行錯誤の成功確率は、だいたい20%程度に落ち着くので、意欲を持って取り組み続けることができます。
試行錯誤はだいたい失敗に終わりますが、5回に1回くらいの確率でうまくいく結果が出て、目の前のチャレンジにハマりやすくなります。
ただし、ランダム反応には中毒性があるため、楽しみながらも自制心を持つことが重要です。
自分の目標ややりたいことを「ゲーム化」して、20~30%のランダム要素を取り入れれば、日々の取り組みも飽きずに続けやすくなります。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。