原油価格Photo:PIXTA

下落が続く原油価格
2026年は50ドル割れとの見方も

 原油価格はトランプ政権開始後、ほぼ一環して水準を切り下げている。これは様々な材料が混在しているものの、米国政府が関税を強化する方針によって相手国との交渉が長引く中、企業側も事業活動を様子見せざるを得なくなったことが影響したためと考えられる。この結果、今年春頃と期待されていた米景気の底入れは、来年の春頃にずれ込むと予想される。

 こうした弱気な景気見通しの中、OPECプラスが想定外の増産を始めたことが原油価格をさらに押し下げる流れとなった。

 直近の米エネルギー省の需給見通しでは、2026年に掛けてかなり顕著な供給過剰になり、在庫が積み上がると予想されている。需給バランスは2025年が186万バレル/日の供給過剰、2026年が205万バレル/日の供給過剰が想定されている。

 2025年の増産は世界全体で267万バレルとなるが、そのうちの76.4%が非OPECプラスの増産によるものだ。非OPECプラスの中には、米国の他、近年良質な油田が発見されて増産バイアスが強まっているガイアナなども含まれている。

 2026年は131万バレルの増産が見込まれているが、非OPECプラスの寄与度は52.3%に低下し、OPECプラスの増産ヘの寄与度が上昇する見込みである。

 一方、需要は2025年が前年比108万バレル、2026年が112万バレルの増加に留まると見込まれているため、需給バランスは大幅な供給過剰になる。

 仮にこの需給バランスが正しいとし、過去データを元にした回帰分析によると、2025年の原油平均価格は68ドル、2026年は48ドルになることが示唆されている。ちなみに米国エネルギー情報局の見通しでは2025年が69ドル、2026年と52ドルとなっている。