自動車 “最強産業”の死闘#22Photo by Koyo Yamamoto

日産自動車は11月6日、2025年4~9月期決算が2219億円の純損失に陥ったと発表した。営業損失は277億円での着地となった。1497億円ものトランプ関税が響いた。同関税や販売の低迷で、日産の苦境は続くとみられる。通期最終損益は未定とした。それでも、米国での基盤強化に向けて「3本の矢」を放っている。連載『自動車 “最強産業”の死闘』の#22では、日産の米国市場のてこ入れ策に迫る。一定の結果が出ているようだが、反撃ののろしとなるか。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

販売台数は中国と日本で17~18%の大幅減
為替、インフレを超えたトランプ関税のインパクト

「まだやるべきことはあるものの、大きく前進しており、将来の発展に向けた土台作りはできている」。日産自動車のイバン・エスピノーサ社長は決算を振り返り、こう強調した――。

 日産は11月6日、2025年4~9月期決算を発表した。売上高は前年同期比6.8%減の5兆5787億円、営業損益は277億円の赤字だった。5四半期連続の営業赤字となり、最終赤字も2219億円に沈んだ。

 小売販売台数は、北米で前年同期比2.0%増加したものの、中国で同17.6%減、日本で同16.5%減、欧州で同7.9%減と苦戦し、グローバルでは同7.3%減の148万台だった。

 円高に振れた為替の影響で645億円、インフレによるコスト増加で500億円それぞれ減益要因となったが、最もインパクトを与えたのが「トランプ関税」。1497億円もの減益要因であった。

 米国は日産の販売台数の3割を占める最大の市場だ。経営再建中の日産にとっては、トランプ関税は重荷となり続ける。だが、日産は、米国市場のてこ入れのために、「3本の矢」を放っている。3本の矢の効果が販売シェアとして表れていることも確かだ。反転攻勢に向けたのろしとなるか。