人間は「38歳が寿命」という説がある。じゃあ、それ以降はどう生きればいいのか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「38歳が寿命」という説
生物には、それぞれ「自然寿命」という寿命の目安が遺伝子に刻まれています。
たとえば、ネズミは平均して2~3年、イヌは10~13年、ゾウは70年ほどと、それぞれの種ごとに決まった寿命があります。
この寿命の設定には、環境の変化に対応しやすいよう世代交代のサイクルが織り込まれているとも考えられています。
進化の過程でそれぞれの種が最も生存に適したライフサイクルを持つように、遺伝子がプログラムされているのです。
私たち人間にも「自然寿命」と呼ばれる生物学的な寿命が遺伝子に刻まれているとされています。
研究によれば、人間の自然寿命は「38歳」に設定されているようです。
18歳で身体が完成し、
28歳で精神が大人になり、
38歳で寿命を迎える
科学技術の進歩や医療、栄養の改善により、人間の寿命は格段に伸びましたが、遺伝子に記された根本的な情報は短期間で変化するものではありません。
もともと人間は38歳程度で世代交代するように設計された生物だと理解すると、多くのことが腑に落ちるかもしれません。
たとえば、生物は通常、寿命が近づくと代謝を一気に落とし、活動量も減少させます。
同様に、人間も30代に入ると代謝が急激に低下し、徹夜や長時間の集中が難しくなり、体力の回復にも時間がかかるようになります。
35歳あたりから突如やる気を失ってしまう人が増えるのも、38歳で寿命を迎える設計に基づいていると考えれば驚くには値しません。
老化の最初の兆候として現れるのは脳の機能低下であり、特に「意欲の低下」が最初に起こります。
この連載でもお伝えしているように、人間は、
・18歳で身体が完成する(身体が大人になる)
・28歳で脳の発達が終わる(精神が大人になる)
・38歳で生物学的に寿命を迎える(次世代にバトンタッチする)
というようにスケジュールされた存在なのです。
この厳しい現実を理解した上で、自分の人生戦略を練ることが求められます。
「年齢に関係なく、何歳からでも成し遂げられる」
そのような言葉は、たしかに魅力的です。
しかし、この連載で述べているように、「願望」と「現実」はしっかりと切り分ける必要があります。
限りある時間を冷静に見据えて計画を立てることで、残酷とも思える遺伝子のプログラムに対しても科学的な対策が可能になるのです。
そういった背景を知り、「ゆるストイック」に日々を過ごすことこそが、これからの生き方なのです。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。