善行はたいてい報われないものだ。ドナルド・トランプ米大統領が決断したイラン攻撃は、その法則に例外があることの証明になるかもしれない。その理由は北朝鮮が示している。先週の時点でさえ、イスラエルがイラン政権に与えた打撃を考えれば、トランプ氏による「サヨナラホームラン」はわずかながらもあり得ると思われていた。イランが23日にカタールの米軍基地に対し、いかにも形ばかりの攻撃を行い、その数時間後にトランプ氏が停戦(しかも実際に維持されているようだ)を発表したことを受けて、その可能性はもはや突飛(とっぴ)とは言い切れないものになっている。そうであれば、ピースメーカーであるトランプ氏はこの戦争だけでなく、イランの核の脅威をも終わらせた可能性がある。公正を重んじる人々からトランプ氏に称賛の言葉が贈られるだろう。それは彼にとって良いことだ。彼が引退してから長い時間がたてば、さらに大きな報いが与えられるだろう。ただそれは、将来の米国のリーダーやその仲間が、核を持つ「ならず者国家」の台頭を阻止する上で、トランプ氏が固めていると思われるのと同じくらい強い決意を持つ場合に限られる。