日本人は「質問」が苦手。じゃあ、何と聞けば質問が出てくる?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さん。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

日本人は「質問」が苦手。じゃあ、何と聞けば質問が出てくる?Photo: Adobe Stock

「質問が出ない」のは当たり前

 会議や研修の最後に設けられる「質問タイム」。
 ここで手が挙がらず、場が静まり返る経験は少なくありません。

気づかいの壁』という本では、次のように述べられています。

人がビジネスシーンでストレスを感じる瞬間に、「質問タイム」があります。
社歴が長くなってくると、会議や勉強会の運営側につくことも増えてきます。
そういった会の最後に必ず登場するのが、質疑応答です。
一般的に日本人は、人前で質問することが苦手と言われています
大学の授業でも、質問するのは留学生ばかりだそうです。私もアメリカに留学した当初、どの授業でも学生たちがつぎつぎと手を挙げる様子に驚きました。
――『気づかいの壁』より

 つまり、「質問が出ない」のは参加者の意欲が低いからではなく、構造的に起きやすい現象だということです

実は「質問したい人」はいる

 しかし、ここで見落としてはいけないのが、「本当は質問したい人がいる」という点です。

ただ、研修を日々行ないながら感じるのは、質疑応答のときには手を挙げなくても、「隠れ質問希望者」が結構な数いるということです。
研修終了後に、「ちょっといいですか?」と聞きに来る人が毎回います。
どうして人前で質問しないのかと聞けば、「レベルの低い質問だと思われるかもしれないので……」という答えが返ってきます。
たしかに、質問ができないときに自分の心の壁を感じることもあるでしょう。
それなのに、いざ自分が進行役になると、「なんでもいいから質問してほしい」と思ってしまいます。
質問が出てこないと、早々に終了させることも多いでしょう。
――『気づかいの壁』より

 参加者は「質問がない」のではなく、「どう聞いていいかわからない」状態にあるのです。

質問は「聞き方」で引き出せる

 では、どうすれば質問は出てくるのでしょうか。

 ポイントは、「自由に聞いてください」をやめることです

そんなときの気づかいが、質問を限定することです。
「では、『今さら聞けないんだけど』ということはありますか?」
「じつはこの後、『ググってみよう』と思っていることはありませんか?」

というように限定すると、参加者は質問がしやすくなります。
1人が質問しはじめると、他の人からも手が挙がるようになります。
――『気づかいの壁』より

 質問を具体化することで、心理的ハードルを下げることができます

 結果として、「最初の一人」を生み出しやすくなります。

感じのいい人は「場を設計する」

 感じのいい進行役は、単に話がうまいわけではありません。

 参加者が発言しやすい「設計」をしています。

「何でもいいので質問をどうぞ」という投げ方ではなく、「この中で気になる点はありませんか」と範囲を示す

 この一手間が、場の空気を変えます。

 質問が出ないのは、参加者の問題ではなく、設計の問題です。

 だからこそ、聞き方を変えるだけで状況は改善します

 まずは、「自由にどうぞ」と言うのをやめてみること

 そして、具体的な切り口を提示する

 それだけで、会議や研修の質は大きく変わります。

 ちょっとした気づかいのコツを身につけましょう。

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。著書に5万部を突破した『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)がある。