睡眠中であってもカフェインの影響下では
脳がより活性化
- さらに、こうしたカフェインの影響は、レム睡眠中の20〜27歳の若年層において、41~58歳の中年層よりも顕著に現れた。この違いは、眠気を引き起こす脳内の神経伝達物質であるアデノシン受容体の変化に起因する可能性があるという。
- 共著者の1人であるカナディアン・スリープ・アンド・サーカディアン・ネットワーク会長のJulie Carrier氏は、カフェインはアデノシン受容体を阻害することで覚醒状態を保つが、若年層はこれらの受容体を多く持っているため、カフェインの刺激作用がより強く現れる可能性があると指摘している。
- 同氏は、「アデノシン受容体は加齢に伴い自然に減少するため、それらを阻害して脳の複雑性を改善するカフェインの作用も弱まる。これが中年層でカフェインの影響が減弱する一因かもしれない」と話している。
- Carrier氏は、就寝前のカフェイン摂取により就寝中に脳が臨界状態に近付くことが示された点について、「この状態は日中に集中力を高めるには有用だが、夜間の休息を妨げる可能性がある。脳はリラックスできないため、十分な回復は望めないだろう」と言う。
- 一方、論文の上席著者であるモントリオール大学心理学教授および同大学認知・計算論的神経科学研究所所長のKarim Jerbi氏は、「本研究結果は、睡眠中であってもカフェインの影響下では脳がより活性化し、回復力が低下した状態にあることを示唆している。脳のリズミカルな活動の変化は、カフェインが脳の記憶の処理や夜間の回復効率に影響を与える可能性を説明するのに役立つかもしれない」と述べている。
- 研究グループは、カフェインが脳の健康に与える長期的な影響についてより深く理解し、年齢層ごとに個別化された推奨を導き出すために、さらなる研究が必要であるとしている。(HealthDay News 2025年6月1日)
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