いま、アフリカ大陸に世界の経済人たちの熱い視線が注がれている。日本でも6月1日から第5回アフリカ開発会議(TICAD)が開催されることもあって、注目が集まっている。本格的な経済成長へ向けて、政府間では数千億円規模の開発プロジェクトが次々と決定。企業もアフリカの市場として可能性に注目し、本格的に進出へ動き始めた。それはまるでアフリカ投資に関して遥か先を走る中国政府の動きに引っ張られているかのようで、前のめりな姿勢が目につく。しかし、冷静にアフリカ市場を見ていくと、いまだに貧困問題や感染症問題が未解決のまま残されており、市場の成長を阻害する要因となっているようだ。アフリカ経済の成長性という光の部分と、未解決のまま残された社会問題という影の部分を取り上げる。(ダイヤモンド・オンライン編集部/片田江康男)

成長可能性と脆弱さを孕む
未開の地、アフリカ大陸

「アフリカ進出について、企業がようやく本気で考え始めた。どのような業種でも、行けば必ずビジネスチャンスをつかめる」

 多くのアフリカ進出支援をするコンサルタントやアドバイザーは力説する。そして、こう付け加える。

「アフリカはここ数年で劇的に変わった。未だに飢餓と貧困、紛争の大陸というイメージを持たれているのならば、今すぐそれは忘れたほうがいい――」

 いま、日本企業の視線が、アフリカに集中している。理由は5年に一度開かれるTICAD(アフリカ開発会議:Tokyo International Conference on African Development)が開催されることもあるが、なにより、アフリカが本格的な成長期に入ったからだ。5回目を迎えるTICADは今回、「援助から投資へ」がキーワードとなっている。

 しかし、冒頭のような言葉は、ある意味正しく、ある意味誤解を生むだろう。確かにアフリカ市場、とりわけサハラ砂漠以南のサブサハラアフリカの成長可能性は高く、本格的な成長が始まったのは間違いない。だが、貧困はいまだに残っており、貧困であるが故に引き起こされる健康問題は、社会問題として各国政府に大きくのしかかっている。

 以下では、成長の可能性と社会的未熟さを同時に孕んだアフリカを、指標をもとに見ていくことにする。