
ダイヤモンド社書籍編集局では、中途採用で書籍編集者を募集しています。異業種・未経験の方からの応募も大歓迎です。そこで、昨年入社した新入社員が、現場で働く編集者に「入社してわかった職場の雰囲気」「ダイヤモンド社の意外な特徴」などについてインタビューしました。ご一読いただき、ご興味を持たれた方はぜひご応募ください。応募締切は2025年9月2日(火)です。募集要項はダイヤモンド社の採用情報ページおよび「マイナビ転職」をご覧ください。(構成:ダイヤモンド社・佐藤里咲)
本には、読者の未来を変える力がある
――榛村さんは2023年4月にダイヤモンド社に入社しました。これまでのキャリアを教えてください。
榛村光哲(以下、榛村) ダイヤモンド社に入社する前は、他のビジネス系の出版社に2年弱勤めていました。その前は、新卒で入社した損害保険会社で3年ほど働いていました。今年で社会人7年目になります(編集注・2024年の取材時点)。

榛村光哲(しんむら・みつのり)
大学卒業後、損害保険会社に新卒で入社。その後、他の出版社を経て2023年入社(入社時27歳)。担当書籍は『ビジネス会食完全攻略マニュアル』『雑用は上司の隣でやりなさい』。
――新卒では、出版業界とはまったく違う業界で働いていたんですね。出版業界には新卒のときは興味をもっていなかったんですか?
榛村 実は、まったく興味を持っていませんでした! 新卒で損害保険業界を選んだのは、「大手企業で安定したキャリアを歩めることが自分にとって一番」だと思っていたからです。しかし、当時配属された営業では、ミスを連発し、仕事も遅く、毎日のように怒られてばかりで……。「このままの状態ではダメなのはわかるけど、どうしたらいいのかも全然わからない」と2年くらい悩み続けていました。
上司も合わない、やりたいことも見つからない……「このまま60歳まで働きつづけるのか……?」と苦しい日々が続いていたある日、なんとなく書店に入ったんです。
そうしたら、本がずらっと並んでいる様子が目に入りました。それまで、私はあまりビジネス書を読んだことがなかったんです。けれど書店には、自分が今悩んでいることの解決手段を紹介するコンテンツがずらりと広がっていて。「『自分が30年かけても身につけられないような、一流の人たちの知識やテクニック』がぎゅっとまとまっている“本”って、まるでタイムマシンみたい! すごいなぁ!」と純粋に思ったんです。
「誰かの価値観を揺さぶる本」を作りたい!
榛村 そこからすがるように、様々なビジネス書を読み漁りました。そうして得た知識に沿って、行動を少しずつ変えてみたら、仕事がうまくいくことが徐々に増えてきたんです。
「ビジネス書の中には“未来を変える知識やノウハウ、思考法”が詰まっている。これは、面白い!」。気づいた頃には、自分も“作る側”にまわって、「直接関わったことのない人の“行動を変えられる”」本や、「誰かの価値観を揺さぶる」本を生み出したいと強く思うようになっていました。こうして、書籍の編集者になることを決意したんです。
――そこで転職をし、前職の出版社に入社したんですよね。どんな仕事をしていたんですか?
榛村 書店営業と書籍編集を掛け持ちしていました。営業として栃木、茨城や千葉の書店さんを回り、残された時間で編集の業務を行っていました。編集の業務では、先輩の下についたり、企業の自費出版の書籍を担当していたので自分の企画を書籍化することはなかったですね。
先人たちが築き上げた「好循環」で、力を発揮したい
――ダイヤモンド社にはどのようにして興味をもちましたか?
榛村 ビジネス書に興味を持ったときから、ダイヤモンド社にはずっと魅力を感じていました。けれど当時、ダイヤモンド社に中途で転職する編集者は「他社で既に結果を残しまくっている人」というイメージがあって、「自分はまだ経験が浅いから到底及ばないな…」と思っていたんです。けれど私がダイヤモンド社に応募したときには、「未経験者歓迎!」と書かれていて。内心「ホント?」と思いつつも、「これは大チャンスだ!」と応募を決めました。
――応募を決めたときにダイヤモンド社にはどんな魅力を感じていましたか?
榛村 一つ目は、ベストセラー編集者と同じ環境で働けるということです。ダイヤモンド社には、ビジネス書をはじめ実用書や教養書、児童書など様々なジャンルでベストセラーを作り続けている編集者がいます。そのような刺激的な恵まれた環境で本を作ることができるのは、まさに夢のようだなと思っていました。
二つ目は、「ロングセラー風土」です。ダイヤモンド社の書籍編集者の評価は「過去6年間に刊行した書籍における半期の売上金額」で決まります。つまり、刊行点数の多さよりも「長く売れる本を作れるか」を重視しているということです。だから、売れる本を作ることができれば、営業をはじめ社内一丸となって一冊を大切に売り続けてくれるんです。
これを実現するのは本当に難しいんです。多くの出版社が内心「そのほうがいいよね」と思っていても、とても簡単にできることではありません。しかしダイヤモンド社は、それをやっている。先人たちが築き上げたそんな好循環の中に自分も入って、力を発揮したいと強く思っていましたね。
ノウハウや知見を「シェアする風土」に驚く
――入社前と入社後でギャップはありましたか?
榛村 入社する前は、ずっと不安でした。ベストセラー編集者が集まっている環境の中で、自分がやっていけるのか…そもそも入社当初は、企画書の作り方もよく分かっていない状態だったので。それに編集者は個人単位の業務がほとんどなので、たとえ後輩であっても競争相手です。本音を言ってしまえば、後輩の相談にオープンに答えてくれるのかどうか、正直、入社するまでずっと疑心暗鬼でした。
しかし入社してみると、その印象は180度変わりました。まず、ダイヤモンド社にはそれぞれが持っているノウハウや知見を積極的に共有し合う「シェアする風土」があります。例えば、直属の上司は入社当初は週2回ほど1on1をする時間を毎週とってくれていました(最初の2~3週くらいはなんと毎日でした)。そこでは、企画書を自分なりに作ってみて、フィードバックをもらったり……。最初はもうトンチンカンなことを聞いていたと思うんですけど、どんなことにも丁寧に答えてくれました。自分でも驚くくらい早く「この会社の仲間になったんだな」と思うことができたのを、よく覚えています。
編集部内の企画会議でも、「今の20代の感覚だと、このことはどう思う?」などと聞かれることも多くあります。経験が浅い若手にも、「最新の感性を持っているから」と意見を求めてくれるのは驚きでしたし、言いやすい空気もあるので、とても嬉しいです。
さらに、自分がこれまでお仕事したイラストレーターさんやデザイナーさんを紹介することを誰も嫌がらないんですよね。正直、「紹介はあまりしたくない」という人がいてもいいと僕は思うんです。けど、ダイヤモンド社ではむしろ「紹介し合った方が自分にも良い縁が訪れて、輪が広がる」という考え方があって。今まで得た知識や経験を後輩にも共有してくれる風土は、とてもありがたくて、助けていただくことばかりです。
「圧倒的なオリジナリティ」を求められるのがやりがい

――ダイヤモンド社に入社して1年ですが、実際に本作りをしてみていかがですか。
榛村 最も感じたことは、ダイヤモンド社では圧倒的なオリジナリティがある企画を求められるということです。
ダイヤモンド社には「シェアする風土」があるので、本作りのノウハウや技術は開かれているんです。だから僕はその代わり、「それぞれの編集者にしか出せない“オリジナリティ”が求められている」と解釈しています。ただ単に与えられることをこなすだけではなく、教えてもらえる技術やノウハウを使って、「まだ世界には存在していない、面白いものを自分で作り出す」こと。とても難しいことですが、やりがいにもなっていますね。
2024年2月には、初めて自分で企画から担当した『ビジネス会食完全攻略マニュアル』が発売されました。この本を作るプロセスでも、同じ編集部内の上司をはじめ、経験豊富な編集者に相談したり、サポートしていただくこともたくさんありました。実はこの企画を進めようと思ったのは、他部署の先輩と会社近くのカフェで話していたときなんです。
上司も先輩も、いつも「何でも相談しやすい雰囲気」を出してくれています。この風通しの良さも、ダイヤモンド社の大きな魅力だと思っています。
異業種の経験が「編集者としての個性」になった
――『ビジネス会食完全攻略マニュアル』を企画したきっかけを教えてください。
榛村 そもそも「ビジネス会食を成功させるコツ」に興味をもったのは、新卒で入社した、いわゆるJTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー、伝統的日系企業)と呼ばれるような損保会社で働いていたときの経験からです。この企画を出したときに、編集長が「榛村君らしくて、オリジナリティがある企画で素晴らしい!」と褒めてくれたのをよく覚えています。その理由は、「損害保険会社で上司や取引先との会食で悩み続けていた経験がある」という、他の編集者にはない、自分らしい個性が色濃く反映されているからでした。
良いと思ったところをしっかり認めてくれる環境があるので、モチベーションも上がります。「出版業界以外での経験が、編集者としての自分の武器になっている」ことは、日々痛感しています。
――初めての担当書を出して、編集者として感じたことはありますか?
榛村 この一冊を作ってみて、書籍のポテンシャルを再認識しました。読者から、「会社での会食が大嫌いだったけど、この本を読んで会食をしたくなった」という感想もたくさん届きました。
これって、「この本でビジネス会食を学んだ人が幹事をして、その会食がうまくいって、会社でも認められる」みたいなことが、実際に起きるかもしれないってことですよね。この本がきっかけで、読者に新しいチャンスや、縁が生まれることもあるかもしれませんし……。本来ネガティブに捉えがちなビジネス会食や幹事の業務に対してポジティブな感想をもらえたとき、書籍を作ることの魅力を強く実感しました。
ほかにも、ダイヤモンド社の他部署とも協力して『ビジネス会食』のセミナーを開催する、なんてお仕事にもつながりました。一冊の本がもつ影響力の大きさを改めて感じたと同時に、ダイヤモンド社でより魂を込めた書籍を作っていきたいと決意する機会にもなりました。
「30年経って読み継がれる本」を作りたい
――では最後に、これからダイヤモンド社で叶えていきたい目標を教えてください。
榛村 一番の目標は100万部を超えるベストセラーを自分の手で作ることです。ダイヤモンド社には、数々のベストセラーがあります。直近で言えば、『リーダーの仮面』三部作がシリーズとして100万部を突破しています。100万部を突破することはとてもハードルが高いことだと思っていますが、口に出さないと叶わないと思っているので……。けれど、ダイヤモンド社ならベストセラーを目指せる環境は整っていると思います。その環境の中で、自分のオリジナリティを大切にしながら本をこれからも作っていきたいです。

100万部超えを目指すとともに、30年経っても読み続けられる・読み継がれるような本を作りたいですね。「25歳のときに読んだ本を、55歳になっても勧めたくなる」そんな、時を超えるコンテンツを残したいと思っています。
また、本の可能性を広げることにも力を入れたいです。先日は『ビジネス会食』関連の外部研修を行い、読者が広がる様子を自分の目で見ることができました。本が売れにくい時代になっているとは言われていますが、それでも、本の可能性はまだまだ模索できると思うんです。
ダイヤモンド社では本を出版するだけではなく、本をコンテンツとして捉え、動画や音声メディアなどに発展させることもできます。一冊の本に魂を込めるという基礎を怠ることなく、同時に、色々な可能性を模索していかなければならないとも強く思っています。