「やればできる」は
マイナスのほうが大きい?
自転車に譬えると、やっと補助輪なしに乗れた状態なのに、もう1サイズ大きな自転車に急かして「乗ってみなさい」と言うようなものです。
当の本人も同じようにやればできるだろうと思っていても、なかなかそうはいきません。そういった挫折経験が続くと見通しがもてなくなり次第にやる気を失ってしまいます。
勉強が苦手な子に難しい問題をやらせてもほとんど意味がありません。それよりも「意外と簡単なんだ」と感じさせることのほうがずっと効果的です。
小学校の応用問題になってくると、単に順位をつけて競うためにパズルのような難しい問題も出てきます。勉強ができる子にとってもそのような問題は、やっても力がつくとは限りません。
子どもにとって「新しいことが分かった」という実感がないこともあり、学習意欲がなくなることもあります。問題がすべて解ける必要はないので、意外と簡単だと思えることが大切なのです。
ところで勉強が苦手な子どもは一度問題ができても、数日経つとまたできなくなることもありますので、基本的な問題でも日にちをあけて繰り返し取り組ませましょう。
基本問題はほぼ大丈夫といった安心感と自信をもって初めて、少し難しい問題にもチャレンジしようという気持ちが生じてくるのです。もう補助輪なんて要らない、と自信をもって自転車に乗れることで、初めてもう1サイズ大きな自転車にもチャレンジできるのです。
わからない問題を
延々と考えさせるのはNG
次のポイントは答えをすぐに見せることです。子どもが勉強に取り組む際、大人としては「自分の力で考えて解いてほしい」という気持ちから、すぐに答えを見せずとことん考えさせることをしがちです。
大人は子どもに比べ既に分かっていることが多いので、分からなくても考えたら何とかなると思いがちです。だから「自分で考えることが大切」という思いで、「分からなくてもすぐに答えを見ずに自分の頭でしっかり考えて力をつけてほしい」という願いを子どもに向けてしまうのです。