一方、これから勉強していく子どもたちは初めて知ることだらけです。知らないことのほうが多い子どもたちにはいくら考えさせてもどうしてもできない問題もあるのです。

 そういった場合、本人の能力やペースを見ず、分からない問題ばかりに長時間格闘させると子どもは無力感を味わい続け、いっそうやる気を失っていきます。

 特に勉強が苦手な子どもは分からない問題のほうが多くあるので、見通しがもてず、いっそうやる気を失ってしまう恐れがあります。

 人は取り組む課題の半分以上ができなければやる気を失うと言われています。学校では個人のペースに合わせて授業が進むわけではないので、たとえ分からないままでも放っておかれ、自信を失い続けていくこともあります。少なくとも家は、自信を失わせる場にしないようにしてあげましょう。

 やる気を保つために半分以上は間違えずにできる問題までレベルを調整してあげ、基礎的な学力や知識が不足している場合やレベル的に困難な問題は、すぐに答えを見せてそれをノートに写させてもいいでしょう。答えが分かってから問題の意味が分かることも多々ありますので、「この答えになるには、どのように考えればよいのだろうか」という教え方も効果的です。

 答えをすぐに見せると、もう自分で考えずに答えを丸写しするだけにならないか、と大人は心配します。しかし子どもが答えを丸写ししてしまうことの背景にあるのは、親からよく見られたい、叱られたくない、恥ずかしい思いをしたくない、といった不安な気持ちだったりします。

 丸写しを責めたり心配したりするよりも、その不安を理解してあげましょう。答えを見せずに難しい問題にチャレンジさせるのは、ある程度学習が進み子どもが自分の力を試したいと思うときだけでいいのです。