子どもはなぜ話したかったのか
何を伝えたかったのかを考えよう

 そもそも子どもが話してくれること自体に意味がありますので、子どもの話の内容が正しいか間違っているかでなく、なぜそのことを大人に話そうとしたのかを考えてみることをお勧めします。

 ほとんどの場合、アドバイスよりも分かってくれる人がいるということだけで十分なことがお分かりかと思います。話の後に、もし子どもが「お母さん(お父さん)はどう思う?」と聞いてきた場合に、子どものペースに合わせながら少しずつ親の考えも伝えていけばいいでしょう。

 ところで、子どもの話を聞くときに、ただ単に聞いていればいいというわけではないことに注意しましょう。ときどき相槌や頷きを入れる、相手の発言を繰り返してみる、分かりにくいところは少し質問して詳しく聞いてみるなど、「しっかり聞いているよ」というサインを出してあげましょう。

 その他、身体の向きを子どもに向ける、視線を合わせる、身を乗り出す、家事などをいったんやめるといった姿勢も、ちゃんと聞いているという大切なサインです。

 とにかく子どもの話を聞くときは、自分の考えや意見を言ったりしないで、聞くだけで止めて、「安心して聞いてもらえる」と感じさせる環境を作ってあげましょう。

「大丈夫?」と聞かれたら
とっさに「うん」しか出てこない悲劇

 子どもの気持ちを確かめたり、子どもに何か心配なことがある場合に大人が子どもに声をかけ注意を向けたりすることは大切なことです。

 しかしそういった声かけの中には子どもの返答の仕方を限定してしまうものもあります。子どもの中には「大丈夫?」という言葉に「うん」としか言えない子がいます。

 そこでいったん「うん」と答えてしまうと大人はそれで子どもを理解したつもりになり、安心して子どもから離れてしまいます。子どもが、お腹が痛くて大丈夫でないのに「大丈夫?」と聞かれて

 も「うん」としか答えられなかった場合、子どもはそのままずっと我慢しなければなりません。