
トランプ米政権の一部当局者は、米半導体大手エヌビディア製の人工知能(AI)チップをアラブ首長国連邦(UAE)が数十億ドル分購入するという大型合意の最終決定に向けた動きを阻止している。理由は、国家安全保障上の懸念だ。
ドナルド・トランプ大統領は5月の中東訪問で、UAEとの合意を支持した。両国は速やかに詳細が詰められることに期待を寄せ、エヌビディアも取引を待ち望んでいた。
だが事情に詳しい関係者らによれば、最先端の米国の技術に中国がアクセスする可能性があるとの懸念を一部の米当局者が表明したことから、米国とUAEは現時点で詳細を詰めることができていない。
関係者らはまた、UAEが米当局者らの懸念に対処するため異なる条件に同意しない限り、この対立は解消されない可能性があるとみている。
ハワード・ラトニック米商務著官は「UAEで署名された合意の実施計画は予定通り、スケジュール通り進むと確信している」とした。またUAE当局者も協議について楽観的な見方を示している他、駐米UAE大使のユセフ・アル・オタイバ氏も声明で、「この合意は両国に大きな利益をもたらすだろう」とした。
交渉に関わる多くの関係者は、この半導体取引がいずれ実現すると見込んでいる。またラトニック氏は他の米当局者らと共に、ピッツバーグで15日に開催されたテクノロジーやエネルギー関連のサミットでUAE代表と会談。合意を前進させる方法について協議したという。