
数年前までは誰でも中国の広範な公式データを詳しく調べることができたが、今やそのデータが消え始めている。
土地(使用権)販売指標、外国投資データ、失業統計などがここ数年で公表されなくなった。火葬件数や企業信頼感指数、さらには公式のしょうゆ生産報告の発表さえ打ち切られた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によると、中国当局は、研究者や投資家がこれまで利用してきた数百のデータの公表を停止した。
ほとんどの場合、中国当局はデータの公表を終了したり、差し控えたりする理由を説明していない。しかし、こうしたデータの消失は、世界第2位の経済大国である中国が、過剰債務や不動産市場の崩壊といった問題の重圧に苦しむ中で起きており、当局が情報を強引にコントロールしようとしていることがうかがえる。
中国国家統計局はここ数年で、都市部の失業に関連する一部データの公表を停止した。統計局のウェブサイト上で匿名ユーザーが、これらのデータの一つが消えた理由を尋ねたところ、統計局は、当該データ提供元の省庁がデータの共有を停止したとだけ答えた。
データの消失により、この重要な時期に中国で何が起きているのかを把握することが難しくなっている。米中貿易戦争が中国に大きな打撃を与え、世界経済の成長を鈍らせると予想される中、中国では対米貿易の急減によってすでに生産停止や人員削減が起きている。