「どうしてあんなヤツが評価されるんだ…!?」
あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人」の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化したロングセラーだ。発売直後から賛否両論を巻き起こし、「よくぞ言ってくれた」「暗黙知が“言語化”されている」「今まで気づいていなかった“新事実”」など大反響が集まっている。そんな「職場で実力を適切にアピールする“見せ方”の技術」をまとめた本書の中から「出世する人/しない人の特徴」についてお伝えする。

職場で出世しない人は「急に暑くなりましたね」と言う。出世する人はどうしている?Photo: Adobe Stock

「急に暑くなりましたね」から、仕事の有力情報が引き出せる

あなたの職場には、「取引先からうまく情報を引き出せる人」はいますか?
僕の経験上、そういう人は総じて“会話の導入”が上手いです。そして、その人たちがよく使っているのが――意外にも「天気の話」です。

多くの人が勘違いしているのは、「天気の話=意味のない世間話」と思っていることです。
しかし、出世する人ほどこの“つまらない話”を上手に使っています。

今回はそれについて紹介していきましょう。

天気の話の2つの強み

天気の話には以下の2つの強みがあるからです。

① ほどよいつまらなさ=警戒心を解く

天気の話は、誰にとっても“害がない”話題です。政治や経済、プライベートな話に比べて、相手の防御力がぐっと下がります。特に初対面や、まだ関係構築ができていない相手には絶大な効果があります。

② 万能な導入口=どんな話題にもつなげられる

たとえば…

  • 「急に暑くなってきましたね」
     →「外回り、大変じゃないですか?」
     →「営業の皆さん、最近はどのエリアが忙しいんですか?」
  • 「夕立、昨日すごかったですよね」
     →「御社の工場のほうは大丈夫でした?」
     →「生産ラインとか止まったりしてません?」
  • 「今日は湿気がすごいですね」
     →「僕、夏バテ気味でして…」
     →「最近、皆さんどんなふうに体調管理されてます?」

という具合に、相手の業務、組織の動き、人間関係、健康管理――どんな切り口にも持っていけるのが天気トークの強みです。

大切なのは、“天気をきっかけに、本題を探りにいく”こと。
つまらない天気の話ひとつでも、使いようで、会話のなかから“有力な情報”を引き出せるのです。

まとめ:「暑いですね」は、チャンスの入口

当然、「暑いですね」という一言で、出世が決まるわけではありません。
でも、その一言の“あと”をどう使うかが、仕事のできる人とそうでない人の分かれ道です。

出世しない人の特徴は、「ただ話すだけ」で終わってしまうこと。
「今日は暑いですね」「そうですねー」で終わってしまっては、せっかくの導入が無駄になってしまいます。

仕事とは情報戦です。重要な情報は、意外なほど“なんてことない雑談”の中に落ちています。
だからこそ、「暑いですね」を雑談で終わらせるのではなく、武器に変えましょう。

次に誰かと会話をするときは、ぜひこのことを思い出してみてください。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』に関する書き下ろし原稿です)