「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか? 「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

「不安」な感情が干渉を引き起こす
「干渉する瞬間」の私たちには隠された感情があります。
それは「不安」という感情。
自信や愛情といったポジティブな感情ではなく、実は「不安」な感情が私たちを干渉へと誘うのです。
この「不安」という感情を理解することができると、あなたの「干渉」に対する印象は大きく変化するはずです。
もし仮に、干渉とは「相手の意図を無視して、自分の思う方向へ相手を導こうとすること」と私が定義したら、あなたはどう感じますか。
ちょっと強引な印象を受けると思いますし、干渉する側が偉そうな感じもするのではないでしょうか。
なぜなら干渉する側の「あなたよりも私のほうが知っている」という意識が見え隠れするからです。今どきの言葉で言えば「マウントを取る」でしょうか。
なんとなく「強い者」が「弱い者」に「干渉」する、という構図がイメージできますよね。
ところが外から見える構図はそうでも、内面に起きている構図は、その逆なのです。
例えば、部下が転職の相談をしてきた際の会話であればこうなります。
上司「そういえば、私の知り合いもこの前転職したんだけどさ……」
部下「へぇ、どうだったんですか?」
上司「いや~、思ったよりたいへんだったみたいで。新しい会社に行ったら文化も合わなくて、結局すぐ辞めたらしいよ」
部下「そうなんですね……」
上司「まぁ、転職ってのは一歩間違えると、キャリアに傷がつくリスクもあるから慎重にやったほうがいいよ。もちろん、◯◯さんは優秀だからどこででもやっていけるだろうけど……。ま、せっかくだし、もうちょっとウチでやれることやってみたらどうだろう?」
なんとなく、この上司の心境、察することができると思います。
この上司が心の中で感じているのは、部下がいなくなるとチーム全体の効率も下がるし、自分も現場に出て仕事をしなくてはいけなくなるという「不安」でしょう。
あるいは、この部下にどんなアドバイスをすればいいのかわからないといった「不安」を抱えていたのかもしれません。
部下の役に立ちたい、というポジティブな思いは持ちつつも、この「不安」な感情に支配されて、過剰な干渉をしてしまうのです。
干渉する人の心の中は、「不安で満たされている」という不都合な事実、おわかりいただけましたでしょうか?
(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)