S&P500とオルカン、何が違う?「9割同じ」で済ませてはいけない理由
東京大学大学院卒業後、ゴールドマン・サックスに入社。30代にして上位数パーセントの幹部、マネージング・ディレクターに就任し、アジアのトレーディングチームを率い、巨額の利益を上げた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトップトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法有望な個別株の見つけ方まで、すぐに役立つノウハウが満載!

【ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが教える】やっぱり個人投資家は「オルカン(全世界株式)」で十分な理由とは?Photo: Adobe Stock

米国株への期待と人気の投資対象

個人投資家に人気の投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)のように全世界株式ではなく、米国株の成長に期待する人も多いでしょう。

そのような場合、「S&P500」「ナスダック総合指数」に連動する投資信託やETF(上場投資信託)への投資を選択することになります。

「S&P500最強説」が支えられてきた理由

ゴールドマン・サックス(GS)のトレーディングチームでも内輪では、過去20年間は「S&P500最強説」が唱えられていました。

移民による人口増加と技術革新による経済成長がその背景です。

オルカンとS&P500の優劣を論じることに意味はあるか?

「全世界株式(オルカン)がいいのか?」「S&P500のほうがいいのか?」という議論には、あまり意味はありません

なぜなら、オルカンの投資先の約6割が米国株であり、上位銘柄も重複しているからです。オルカン=米国株を多く含む構成であるという点を理解することが重要です。

オルカンとS&P500の高い連動性とリスク差

オルカンが基準とし、世界の機関投資家が参照する「MSCI全世界株指数(ACWI)」と、S&P500指数を比べると、過去10年間の年率リターンはそれぞれ11%と15%で、S&P500に軍配が上がります。

相関係数は90%以上であり、両者は非常に似た動きをしています。ただし、S&P500の変動率はオルカンの1.3倍となっており、リスクも高めです。

なぜ私がオルカンをおすすめするのか

今後はS&P500よりもオルカンのほうがいいと私は思っています。

リターンだけでなく、リスク調整後の効率「シャープレシオ」で見ると差は小さいからです。

※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。