15年稼ぎまくった金融マンが教える“自分のための投資思考”
東京大学大学院卒業後、ゴールドマン・サックスに入社。30代にして上位数パーセントの幹部、マネージング・ディレクターに就任し、アジアのトレーディングチームを率い、巨額の利益を上げた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトップトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法有望な個別株の見つけ方まで、すぐに役立つノウハウが満載!

【ゴールドマン・サックス】私が激しい競争環境で培った「投資の思考法」Photo: Adobe Stock

投資に捧げる情熱と心の葛藤

私はトレーダーとして仕事にのめり込む一方、葛藤を感じていました

それまで国に、そして地域に育てられた私の知的情熱を、このまま投資で収益を上げることだけに捧げてしまってよいのだろうか?

そんな疑問が、ときどき頭に浮かぶようになったのです。

ジム・シモンズの生き方が胸に刺さった

「投資の神様」とも呼ばれる米著名投資家ウォーレン・バフェット氏を運用成績で圧倒するとされる米大手ヘッジファンド、ルネサンス・テクノロジーズの創業者で、私が尊敬するジム・シモンズ氏は、若くして大学教授として数学を教えていました

ところが、アカデミアの立場を離れてからは、その英知を市場で収益を上げることに投じました。その生涯を論じる書籍では、彼の才能が市場取引に捧げられたことに疑問を呈する論調があったのです。

このような指摘は、自分の仕事に葛藤を抱いていた当時の私の胸に刺さりました。

トレーダー卒業後の多様なキャリア

ゴールドマン・サックス(GS)の歴代トレーダーは、会社を後にしてからさまざまな職に就いています。

実際、私の周りにはスタートアップ経営者、エンジニア、塾の講師、ヘッジファンドの運営者などがいますが、GSで鍛えられたスキルやネットワークを活用して、それぞれの道で成功している人が少なくないです。

自分の「お金」に向き合うために

そうして私が15年在籍したGSを辞めたのは、2015年のことでした。

GSにいた頃の私は、自分自身のお金には無頓着で、自分の貯金がいくらあるかさえ正確に把握していませんでした。

早く返済すればお得だったにもかかわらず、大学入学時に借りた有利子の奨学金もほったらかし。GSで与えられた職務に没頭するあまり、自分のお金のことを考える余裕がなかったのです。

投資を「体系的に」理解するための決断

そんな私も、自分の資産形成を考えていなかったことを反省し、GSを辞めて投資のあり方を断片的な実践ではなく、体系的に理解するため、研究することにしました。

そのためもあって、MBA(経営学修士)を取得するため、早稲田大学大学院ファイナンス研究科に入学しました。

竹原均、森平爽一郎、薄井彰、四塚利樹といったファイナンス・会計分野の優秀な先生方に師事し、基礎から学び直したことで、GS時代の実体験を理論として理解することができました。