緑茶を1杯多く飲むことで
認知症リスクが約4.8%低下 

 村上コホート研究では、新潟県の村上市、関川村、粟島浦村に在住の40~74歳の住民14364人を対象とした。ベースライン調査は2011~2013年にかけて実施され、自記式のアンケート調査により、性別、年齢、BMI、既往歴などの情報を収集した。お茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶)とコーヒーの摂取量に関しては、質問票を用いて1日あたりの摂取量を定量的に評価した。認知症の症例は介護保険データベースを用いて特定した。

 本研究の最終的な解析対象は13660人(平均年齢59.0歳、男性48.1%)で、参加者の平均追跡期間は11.5年であった。

 緑茶の1日あたりの摂取量を四分位(94mL未満、94~299mL、300~599mL、600mL以上)に分類し、性別、年齢、既往歴などを調整して解析した結果、緑茶の摂取量が多いほど認知症のハザード比(HR)が低下する傾向が示された(多変量傾向P値=0.0178)。

 最低四分位を基準とした場合、最高四分位の多変量HRは0.75となり、認知症リスクの低下が認められた。緑茶の摂取量が1杯増加するごとに(1杯=150 mLと定義)、認知症の多変量HRは0.952(95%信頼区間0.92-0.99、傾向P値=0.0160)となった。この値は、緑茶を1杯多く飲むことで認知症リスクが約4.8%低下することを示している。

 また、緑茶とコーヒーの摂取量の組み合わせに基づき、摂取量が異なる9つのグループを作成して解析を行った。全体として、緑茶およびコーヒーの摂取量が増加するにつれて認知症のHRが低下する傾向が示された一方で、緑茶600mL/日以上かつコーヒー300mL/日以上という、それぞれの最高四分位の組み合わせにおいては、認知症リスクの低下との有意な関連は認められなかった(交互作用のP値=0.0210)。

 本研究について著者らは、「日本の中高年者において、緑茶の摂取量が多いほど認知症リスクの低下と関連しており、コーヒー摂取との相互作用も確認された。ただし、両方を過剰に摂取することは推奨されず、今後は緑茶摂取量の上限と認知症予防効果についての研究が求められる」と述べている。

 なお、本記事は『The Journal of Nutrition, Health and Aging 2025;29(8):100615』掲載論文(CC BY 4.0ライセンス)に基づいて作成された。(HealthDay News 2025年8月4日)

Abstract/Full Text

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S127977072500140X?via%3Dihub#bib0030

Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.