レノボ社上席副社長兼チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)。NVIDIAのインターナショナル・マーケティング担当副社長、アップルの広告&ブランドマーケティング担当副社長、HP社でのワールドワイド・マーケティング・コミュニケーション担当副社長などを歴任し、2010年から現職。
業績悪化に陥るPCメーカーが相次ぐなかで、一人勝ちとなっているのがレノボである。
同社が発表した2013年度(2012年4月~2013年3月)の業績は、売上高が前年比15%増の340億ドル、税引き前利益は同38%増の8億100万ドル、利益は同34%増の6億3500万ドルと、過去最高の売上高と利益を達成している。
また、主力となるPC事業での出荷台数は前年比10.2%増。PC市場全体が8.1%減とマイナス成長となるなか、2桁成長を記録。年間出荷台数も過去最高を更新した。市場シェアは15.5%を獲得。首位のヒューレット・パッカードに肉薄する状況だ。
なぜ、レノボは成長を遂げることができるのか。その質問に、レノボのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)であるデイヴィッド・ローマン上席副社長は、「戦略がシンプルであることが最大の理由」と答える。
縮小する世界のPC市場で
16四半期連続最高の成長率を記録
ローマン氏が指摘するシンプルな戦略とは、「プロテクト&アタック」という考え方である。
「自らの強い部分を守り(プロテクト)、戦略的に攻めていくところは攻撃(アタック)していく。社内で決定する事項は、すべてがこの考え方に基づいている」
レノボにとって、プロテクトする領域は、PCである。中国でのナンバーワンシェアを堅持し、日本では買収したNECパーソナルコンピュータとの連携によってレノボ・NECグループとして国内シェアナンバーワンを維持するなど、高い実績を持つ領域において、プロテクトのための施策を相次ぎ実行する。ThinkPadを例にとれば、日本のユーザーが求めるモビリティや堅牢性を実現し、市場の要求に合致した製品づくりを続けていることがあげられよう。
「プロテクトといっても、成長しないことを意味するのではない。PCの領域においても、業界のなかで最も速い成長を遂げている」(ローマン氏)。実際、PC市場においては、過去16四半期連続で、最も高い成長率を達成している。