「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

干渉は、なぜおこるのか?
「何もしていない人」ほど、干渉されてしまう?
私は何もしていないのに、相手が勝手に干渉してくる。
そんなことを感じる瞬間が、きっとあなたの生活の中にもあるはずです。
こういった干渉はなぜ起こるのでしょうか?
ここでは、少し視点を変えて、私たちが子どもから大人に成長する過程から、干渉のイメージを膨らませていただければと思います。
少し回りくどいところもあるかと思いますが、大切なコンセプトですので、どうぞおつき合いください。
子どもの頃は、誰もが「干渉される人」です。
子どもから見ると、周囲の大人は、自分の一挙手一投足に四六時中ダメ出ししてくる人に映るはず。
「残さず食べなさい」
「いつになったら宿題するの」
といった干渉のオンパレードな毎日だと思います。
これは大人側から見れば当然のことです。
例えば赤信号で飛び出そうとしている子どもを「ダメーッ!!」と力ずくで引き戻す人は、おせっかいどころか命の恩人だったりします。
つまり、躾や教育だけでなく、命の危険から守るためにも大人の「干渉」が必要であるということです。
それから何年か経てば、子どもは思春期に入ります。自立心が芽生えてきて、干渉がうっとうしくて仕方なくなる時期です。
「干渉する大人はみんな嫌い!」とばかりに、過剰に反抗もします。
これも、大人になるために必要な過渡期と言えるでしょう。
そんな経験をしながら、私たちは人とのつき合い方、つまり「社会性」を学んでいきます。
ここで、話を大人に戻しましょう。もし大人になってもなお「干渉されてうんざり」な立場にいるとしたら、思春期の若者のように「干渉する奴が悪い!」と反抗するだけでいいのでしょうか?
言うまでもありませんが、干渉されると、私たちは不快になります。
だとしても、干渉される側が「100%被害者」かというと、そうは言い切れません。
1%か、10%か、30%か、60%か。
度合いはそれぞれ違えど、そこには、相手の干渉を誘う、私たち側の「何か」があります。
「私は何もしていない」が強い否定になっている
「いいえ、私は何もしていないのに、相手が干渉してくるんです」と思った方もいるかもしれません。
状況によっては、「もらい事故」的にまったく理由もなく干渉される、と感じる瞬間もあるでしょう。
この「何もしていないのに干渉された」と感じるとき、私たちは興味深い行動に出ます。
それは、相手の干渉に対して、「相手にしない」という行動(あるいは作戦)です。
例えば「前向きに検討してみます」「一応お聞きしておきますね」と言ってその場を逃れる。あるいは、最近では「それな……」みたいな受け答えをする方法。
これを私は「ゼロ対応」と呼んでいます。そして、ゼロ対応は一般的には良い方法だとされています。
しかし、この対応の仕方は、再考する必要があります。
実は、ゼロのつもりが「マイナス」になっているのです。
相手が「良かれと思って伝えた」ことを、あなたは「柔らかく拒否する」という壁をつくるイメージで否定しているからです。
否定は相手への攻撃、それもかなり強い攻撃になります。
あなたが相手との間に立てた分厚い壁に、相手は気づくのです。
(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)