「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

「ありがとう、でもね…」と反論してはいけない
ここからは長期的なテクニックについてお話しします。
ある相手との関係で「干渉される立場」から徐々に脱していく方法です。
一回の会話だけで「仕留める」のではなく、時間をコツコツかけて、関係を改善・向上させていく知恵だと思って読み進めてください。
一つ目が、「受け流す」です。
干渉されたときに「そういう考え方もあるよね」と応じる最初の段階です。
「受け流す」のイメージは、「真に受ける」と「生返事&上の空」の中間です。
真に受けるときによく使うのが「わかりました」という言葉。「わかりました」は「理解」を示す言葉なので、相手は「考えが一致した」と勘違いしやすくなります。
逆に、「へぇ~」と気のない返事をすれば、相手にも聞き飛ばしたことが明確に伝わりますので、こちらもおすすめできません。
その中間、「あ、そういう考え方もあるよね」といった言葉で、相手の発言だけを承認するのが「受け流す」です。
他にも、「なんとなくわかる気がする」「あ、そうなんですね」「知りませんでした」などの、表現のレパートリーを増やしておきましょう。
それでもダメなときのために、最強の受け流しの言葉を紹介します。
「ありがとう」。ただ、これだけです。これで相手は二の句がつげなくなります。
「……ありがとう」と、言うまでに2秒ぐらい間を空けるのもおすすめです。
重みが増して、ますます相手はグッと言葉に詰まります。
なおこのときは、「ありがとう」以外の言葉を添えてはいけません。
「ありがとう。おかげで○○だってわかったよ」など余計な言葉をくっつけると、「え? 本当にちゃんとわかった? そういうことじゃなくってね」と、細かいところに反論が入ります。
絶対に避けるべきは、「ありがとう、でもね」という反論です。
もちろん反論したい気持ちはわかります。「よくもずけずけ言ってくれるわね!」と、ひと言言ってやりたいと思うこともあるでしょう。
しかし、口に出してはいけません。不快を表せば、相手はそれを「燃料」にして、さらにぐいぐい干渉してきます。
言いたいことを言うのは、相手に燃料を与えるのと同じなのです。干渉を連鎖させないためには、黙るのが一番です。
相手の見解を「誤解だ」「偏っている」と感じたときは特に踏ん張りどころです。
「相手を正したい」と思ったときこそ、黙りましょう。
(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)