「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

干渉しないことは「距離を遠くする」こと
「距離感」の観点で少し掘り下げてみましょう。
ここで言う距離とは、物理的距離ではなく、心理的距離です。
あれこれ言わずに、ただ運転を代わるのは「意見が衝突しないよう距離を取る」、すなわち心理的距離を「遠くする」選択です。
夫婦・恋人間で、これをしている方は意外と多いと思います。
角を立てたくないから、自分が我慢して調整すること、ありませんか?
「夫の食器洗いが雑だ……。まあいっか、こっそり後で洗いなおそう」とか。
その行動が良くない、とは言いません。その選択が最善である場面も多々あります。
ただ、アクションとしては「近づく」ではなく「離れる」行為であり、温かいか冷たいかで言えば、冷たい行動に近いのも事実です。
無難な選択は心理的距離感を遠ざける要因にもなりうることを、まずは押さえてください。
距離が近過ぎると「支配」と「服従」の関係になる
とはいえ、距離感が近過ぎると、またしても暑苦しい干渉に舞い戻ってしまいます。
とりわけ気をつけたいのが、近さが極まって「密着」になったときです。
この場合、片方が「こっちのほうがよくわかっている」という気持ちを暴走させた「支配」モードになり、もう片方が「服従」モードを強いられることもありえます。
例えば、上司と部下の関係であれば、上司がこんなことを伝えている場面を思い浮かべてみてください。
「こっちは会社の売り上げを支えている重要な仕事を10年以上やってきていて、何がベストな選択肢なのかがわかっている。君はまだ経験が足りなくてわかってないと思うけど、この作業は絶対にやらなきゃいけないんだ」
これ、上司が「支配」モードに入っている状態です。
それに対して部下は「服従」モードで、「そうおっしゃるなら、やりなおします」と呼応している状態です。
では、お互いに対等さを保てる適正な距離とは、どんな距離でしょう?
「スープの冷めない距離」という言い回しがありますね。実家の親との程良い関係性を表す言葉です。
本書では「大切な人との間で絶妙な距離感を保つこと、あるいは築くこと」と定義します。
「要は、程良く温かければいいんでしょ?」と思った方もいるかもしれません。
しかし、その「程良い温かさ」に客観的数値はありません。
万人の、あらゆるシーンに当てはめられるような方程式も、やはりないのです。
(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)