見た瞬間、「わかりやすいな」と思えるメールがある。一方で、一目で「うえっ…」と思って閉じたくなるメールもある。その差はどこにあるのか?
ハーバード大学教授であり、ハーバード行動洞察グループ(BIG)のディレクターを務める行動科学者トッド・ロジャース。行動科学で人を動かす方法を研究してきた彼が、「読まれる文章」「読まれない文章」の原理を突き詰め、科学的に正しい文章術として体系化したのが『忙しい人に読んでもらえる文章術』(トッド・ロジャース、ジェシカ・ラスキー=フィンク著、千葉敏生訳)だ。本稿では同書から特別に一部を公開する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局 三浦岳)

【一目瞭然】「仕事が速い人」「遅い人」のメールの決定的な違いとは?Photo: Adobe Stock

これで、仕事のテンポが変わる

 現代のビジネスでは、多くのやり取りがメールで行われる。メールがうまい人とは話が速く進むが、下手な人とは無駄な手間が増える。

 そして、仕事のスピードに最も影響を与えるのが「メールのターン数」だ。仕事が遅い人のメールは確認が多く、やり取りが増え、時間も労力もかさむ。

 では、どうすればターン数を減らせるのか。この点について『忙しい人に読んでもらえる文章術』の著者は次のように述べている。

無駄な1ターンをなくす

 行動に必要なステップ数を減らし、読み手が行動しやすくするために、メッセージのなかでできるちょっとした工夫はたくさんある。

 たとえば、打ち合わせの日程調整のメールを例に取ろう。多くの人は失礼にならないよう、まずは次のような漠然とした訊き方をする。

来週あたり、打ち合わせでもいかがでしょうか?

 こうした柔軟な依頼は、お互いにとって都合のよい日時を探るためのメールのやり取りにつながりやすい。

 だがより効果的なのは、相手が理解し、返信しやすい形で、打ち合わせの所要時間や日時を先に提案するという方法だ。

 たとえば、次のような感じだ。

来週、30分の打ち合わせをしませんか? 次の日時はいかがでしょう?
・火曜日(3月13日)の午前10時半~
・水曜日(3月14日)の午後0時~
・木曜日(3月15日)の午後3時~

 日程調整にありがちな質問や混乱を避けるため、短く、箇条書きにしつつも、過不足なく情報を示している点に注目してほしい。

 このメッセージなら、これ以上の不要なメールのやり取りをしなくてすみ、打ち合わせの日程がスムーズに決まる。

(本原稿は、トッド・ロジャース、ジェシカ・ラスキー=フィンク著『忙しい人に読んでもらえる文章術』〈千葉敏生訳〉からの抜粋です)