なぜ、人はスマホ詐欺にだまされてしまうのか犯人たちは“総当たり”という方法で、片っ端からSMSを送っている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

離れた家族とのコミュニケーションやちょっとした買い物、公共料金の支払いなどなど、生活のあらゆる場面で活用されているスマホ。いまやシニア世代の方も当たり前のように使っていますが、スマホに慣れていないという弱点を突かれ、油断すると詐欺被害の入り口になってしまう可能性があります。セキュリティの専門家である中央大学国際情報学部教授、岡嶋裕史さんの新書『70歳からの安心スマホ術』(青春出版社)から、スマホを安全に使うための心得と対策を教えてもらいます。

焦らせて、考えさせないのが詐欺師たちの手口

 なぜ、人はスマホ詐欺にだまされてしまうのでしょうか。その答えはとても単純で、相手に焦らされてしまうからです。

「料金が未納なので、今すぐに支払わないと大変なことになります」
「5時間以内に手続きをしなければ、口座が凍結されます」
「今すぐ申し込めば得をします。急いで!」

 こんなふうに不安をあおったり、時間を区切って急かされたりすると、普段なら冷静に考えられることでも正常な判断ができなくなってしまいます。

 実は、これこそが詐欺の大原則。相手を焦らせて思考を止め、判断力を奪う。そのスキを突くのです。一番怖いのは、焦らされている本人は自分がその状態にあると気づかないこと。まわりからは不自然に見える言葉でも、本人は「大変なことになった」と思い込み、冷静さを失ってしまうのです。

 では、どのように対策すればいいのでしょうか。もし相手が「急いで」「今すぐ」といってきたら、「これは焦らされているのでは?」と立ち止まって考えることが大切です。みなさんなら、一度深呼吸して立ち止まれば、冷静さを取り戻すことができるはずです。