
Illustration: Emil Lendof/WSJ, Getty Images, Bloomberg
米ハイテク業界でいま一番注目を集めるスタートアップ企業の多くには共通点がある。創業者がかつて米パランティア・テクノロジーズで働いていたことだ。
こうしたスタートアップ企業の創業者らは、他のパランティア出身の幹部やエンジニアに支援や資金を求め、このネットワークを通じて人材採用や資金調達を行っている。同社出身者が設立した企業に投資することを目的とするベンチャーキャピタルも登場している。
著名投資家のピーター・ティール氏が共同創業したデータ分析ソフトウエア開発企業パランティアは、米軍や情報機関、トランプ政権の移民取り締まりなどに協力する珍しいシリコンバレー企業として知られる。多くの民間企業とも取引がある。同社の株価は過去12カ月で5倍に上昇している。
同社出身者は自分たちのことを「パランティア・マフィア」と呼ぶ。昨年10月、ベンチャーファンドのサウスパークコモンズがパランティアと共同で開催したパネルディスカッションの案内には、「『パランティア・マフィア』のメンバー数人」が登壇すると宣伝されていた。出身者らは連絡を取り合うために通信アプリのワッツアップやシグナルでグループを持っており、その一つは「パランティア・パルズ ( Palantir Pals、パランティアの仲間たち)」と呼ばれている。
2014年から2016年までパランティアの投資家向け広報責任者を務めたルバ・レシーバ氏によると、同社出身者は350社以上のテクノロジー企業を創業または経営しており、少なくとも12社が企業価値10億ドル(約1470億円)以上に達している。レシーバ氏は、パランティア出身者が創業または経営する企業に投資するベンチャーキャピタル、パラムナイVC(Palumni、PalantirとAlumni=同窓生を組み合わせた造語)を運営している。