トランプ大統領Photo:Bloomberg/gettyimages

 昨年の米選挙は、民主党とシリコンバレーのハイテク産業との絆にここ数十年で最大の一撃を加えた。修復は容易ではなさそうだ。

 中道左派の業界団体「チェンバー・オブ・プログレス」のアダム・コバセビッチ最高経営責任者(CEO)はいわばカウンセラー役だ。数カ月かけて民主党やテック企業の従業員、バイデン前政権時代の政府関係者らと会い、テック企業の幹部はなぜ民主党に愛想をつかしたのか、どうすれば関係を修復できるのかについて意見を聞いた。

 民主党に定期的に献金してきた幹部の一部は、民主党指導部がシリコンバレーを資金源としてしか見ておらず、業界を後押しする政策を推進していないと感じている。民主党は支持率が ここ30年余りで最低の水準 に落ち込んでおり、米オープンAIのサム・アルトマン氏やベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセン氏といったテック業界の大物の支持を失えば、先行きはさらに厳しくなるとして懸念を強めている。

 米アルファベット傘下グーグルの元幹部であるコバセビッチ氏は、「これは大きな問題だと思う」と述べた。「反イノベーションの党になるのは自滅行為だ」

 選挙資金の流れを追跡する非営利団体オープンシークレッツのデータによると、2024年の選挙では、通信・電機部門からの献金の約80%が民主党向けで、この比率はグーグルや米 マイクロソフト などのテック大手でも同程度だった。だが背を向けた人もいる。バイデン前政権が暗号資産(仮想通貨)や人工知能(AI)などの規制に重点を置いたことに反対し、ドナルド・トランプ大統領の政策に期待を寄せる人たちだ。